すーちゃん まいちゃん さわ子さん [DVD]

監督 : 御法川修 
出演 : 柴咲コウ  真木よう子  寺島しのぶ 
  • ポニーキャニオン
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すーちゃん、まいちゃん、さわ子さんの3人はかつてのバイト仲間で、30代になった今でも友情が続いている。料理好きでカフェに勤務するすーちゃんは最近、職場のマネージャーが気になる。OA機器メーカーに営業として務めるまいちゃんは妻子ある男性との恋愛が継続中。WEBデザイナーのさわ子さんは、母と2人で祖母の介護に追われる日々を送っている。3人はそれぞれが選んできた道に迷いながらも今を生きていく。

ほのぼのとした雰囲気の中で3人それぞれの生活を追いながら、時々心の声が聞こえるのがおもしろい。例えばまいちゃんが営業先で、上司と取引先のオジサンからセクハラ発言を受けると「死んでくれないかな~」と辛らつな、でも女子にはとても共感できる心の声が聞こえてくる。そんな感じで、共感したり時々くすっと笑えたりして物語が終わるのかと思えば、次第に30代女子の深い部分まで踏み込み始める。
まいちゃんは先の見えない恋愛に区切りをつけ、結婚相談所で出会った男性と結婚することに。すぐに妊娠して幸せいっぱいのはずなのに、久しぶりにすーちゃんの前に現れたまいちゃんはさえない顔をしていた。「時々考えちゃう。捨てた方の人生もありだったんじゃないかな」ぽつりとつぶやいたまいちゃんの言葉が頭の中で響いた。営業としてばりばり働いていたまいちゃんは、仕事を辞めて結婚という選択をする。それは女としての幸せをつかむためだったり、適齢期を逃さないためだったり、色々な理由があるだろう。私たちは人生においてたくさんの選択をしていく。その度によく考えて、出来るだけ後悔のないように慎重に選んでいるはずである。それでも上手くいかなかったり、将来に不安を覚えたりした時、人は「これでよかったんだろうか。この選択で間違いはなかったのだろうか」と迷いに絡め取られてしまう。まいちゃんのつぶやきは誰もが感じる思いなのだ。それでももう後戻りはできない。そうやって時に後ろを振り返りながら、自分が選んだ道を信じて進むしかない。
絶対に幸せを掴めるような完璧な選択などない。それでも人は人生が少しでも良いほうへ進むよう、選択を繰り返して生きていく。すーちゃん、まいちゃん、さわ子さんのように時に愚痴を言いながら、小さな幸せに希望を見出しながら、泣いてしまっても次の日には笑いあって日々を重ねていきたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生き方
感想投稿日 : 2014年7月21日
読了日 : 2014年7月5日
本棚登録日 : 2014年7月5日

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