心の病理を考える (岩波新書 新赤版 359)

著者 :
  • 岩波書店 (1994年11月21日発売)
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感想 : 11

難しいかなって読み始めはすこしゆっくりだったけど、返却期限もあって読み進めたらどんどん入り込んでいってしまった。
大分ヘビーだったけど、言っていることはわかりやすいし、おもしろい。それまでの著作が多くひかれていて、木村敏の心への考え方がある程度まとまって記されているのかなと感じた。その一端をつかめた感じ。他の著作も読み進めて生きたい。
癲癇/分裂病/鬱病の時間についてはそれまでに聞いたことがあって、理解できたしおもしろかった。

分裂病は「あいだ」(生物体と環境との接触面・境界面であり、生きるという行為の行われる場所)の病理だという結論に到達するまでに、人間の生に関する考察が多岐に渡り行われており、自分の生についても考えられたし、なんだかすっきりした。(こういう捉え方もあるのねーってかんじ)

人間の進化についての論及、「モノ」と「コト」についての議論は難しくて未消化な部分あり。「コト」だけが感じられない時の例は適切なのだろうか・・・。
左脳の発達により、自己意識と言語機能を得た人間は生きる主体である身体を疎外してしまう。もっと動物(遺伝子運搬装置)としての面を意識してもいいのかもしれないな。
分裂病については実際の症例が浮かびづらかったので、もっと現実的なところを学んでからもう一度読み直してみたい。

わからなかったところ
P148 間主体性の根拠についての考察がなされず、共通の実感として示されている。これはこれでいいが、そのあとに自分たちが連綿たる生命現象の中の一部であることが示されているので、それじゃ生きとし生けるものすべてとの間に間主体性が発揮されるのかなと感じる。もちろんそういう経験もなくはないが、主観が他の主観を認識できるということと間主体性があることとはすこしずれたことなのかなと感じられる。
→P154…他人の身体が生きていることは、本能的に・直感的に了解される
人間(自分と同じ種)の形をしていることは前提である。
→外国人や異世代の人を前にした時には、一定の関係性をつくらなくては間主体性は働かないということ??

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感想投稿日 : 2013年12月22日
本棚登録日 : 2013年11月10日

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