どの論文もわかりやすい言葉で読み手への問いかけを意識して書かれていたので、興味深かった。
最後の鼎談とあとがきに本著の願いや、意味があると思った。
それまで自明であった、宗教、芸術といったものが、合理性しか信じられなくなっているこの時代変化のために、存在意義を問われている。
費用対効果でいったら、文学、芸術の部は悪いに決まっている。
冷戦以後広がる合理性という原理主義(1つの宗教)が、芸術の自明性を疑い始めたが、そもそも芸術って疑ってはならないという畏敬すべき存在として、そういう場所(わりきれないこと)を確保するものなんじゃないのって書かれていた。
文学を学びながら、なぜ必要なのか、問われたら困るなって劣等感を抱きながら過ごしてきたので、これ読んですこし自信がついた。
たのしいからやっているんだし、そもそも費用対効果もとめてどうするのって話。
問いにはならない問いを設定し、答えられないものについて答えようとすることを通して、無用と有用とが幾重にも弁証法的反転を繰り返して絡み合う、芸術なるものの独特の「有用性」を浮かび上がらせたい。という目的自体が示唆的で挑発的。おもしろいなあと感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年1月8日
- 読了日 : 2014年1月8日
- 本棚登録日 : 2014年1月8日
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