蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)

著者 :
  • 光文社 (1999年1月1日発売)
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感想 : 61
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受験生・孝史は宿泊中のホテルで火事にあい、あやうく命を落としそうになる。

それを間一髪のところで助けてくれた男・平田が孝史を連れて行った先は・・・。


 昭和11年2月26日。今まさに、2・26事件が始まろうとしていた東京・蒲生邸だった。

そこで孝史は、当主・蒲生憲之の不可解な「自決」に立ち会うことになり、思いがけず、真相を突き止めていくことになる。


蒲生憲之の死は本当に「自決」なのか。

時間旅行者・平田はなぜ敢えてこの時代を選んだのか。

全く歴史の知識がない孝史が見た、昭和11年の東京とは。


未来人として何もできない孝史や平田のジレンマは、タイムトラベルものにありがちな、未来を知っていることから生じる驕り、みたいなものは全くない。

また、未来を知った上で、蒲生邸の人々が選択した生き方は、「今を一生懸命生きる」ことの大事さと、「その時代の人間」としての責任を感じさせる。

自分は、「今」をひたすらに生きているかな?

平成に生きる人間としての責任を果たせているかな?

なんてコトを考えさせられる作品。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説_SF
感想投稿日 : 2015年1月2日
読了日 : 2009年月
本棚登録日 : 2015年1月2日

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