39: 刑法第三十九条 (角川文庫 な 36-1)

著者 :
  • KADOKAWA (2000年12月1日発売)
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 自分の演技にいちゃもんをつけられたと妊婦に絡み、あげくのはてに家まで押しかけて首を絞めて殺し、その後腹部を切り裂いて胎児を引っ張り出すという猟奇的な殺人を犯した劇団員の柴田真樹。帰宅した夫もメッタ刺しにしていた。あっさりと犯行は認めたものの、初公判で大声をあげたことから精神鑑定にまわされることになる。そしてその結果、解離性同一性障害と診断され、刑法第三十九条により、被告人には刑事責任能力なしとされた。だがそこで、異論を唱えた精神鑑定人・小川香深がいた。

 世の中で猟奇的殺人が起きた時、必ずといっていい程でてくるのがこの39条。”心神喪失者の行為はこれを罰しない。2心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する”。よくも悪くもこれを知る人は増えてきただろう。この作品は、それを悪い方向で利用されたら・・・という話であり、こういうことを危惧している人たちも実際にいるだろう。そして、十分にありえる話だと思う。39条にではないが、心理テストの部分なんかは実際に自分も疑問をももったことがあるし、直面したことがある。バウム・テスト、実際出されたけどある程度何を見られるのか知っていたから、どう描いていいかわからなくなったもんなぁ(^^;こういうのを全部勉強した上でもし犯罪を犯した人がいたら・・・・・・。怖い想像だけど、やっぱりありえるよ、うん。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸本(日本)長編
感想投稿日 : 2008年7月20日
読了日 : 2008年7月20日
本棚登録日 : 2008年7月20日

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