千里眼とニュアージュ(上)

著者 :
  • 小学館 (2005年11月5日発売)
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本棚登録 : 332
感想 : 16
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 実質的な権限は一IT企業であるジンバテック社にあるという48番目の都道府県・荻原市。そこは無職の人間が何不自由なく暮らせる福祉都市である。しかし、悩みとは無縁に思えるそこの住人達が最近皆、悪夢をみると訴える。そんな住人達の話を聞くことになったのが、同じく荻原市に身をおく心理相談員・一ノ瀬恵梨香であった。しかし荻原市の住人達が揃ってカウンセリングを希望するのは、あくまでも岬美由紀。その頃テレビでは、「トランス・オブ・ウォー」でイラクに行っていた岬の帰国が大々的に報じられていたのである。

 この本でようやく対面することになる岬美由紀と一ノ瀬恵梨香。恵梨香の両親の死亡は美由紀の両親の事故のせいということになっているので(※小学館文庫版)、恵梨香の美由紀への反発心がものすごい。しかし美由紀と並ぶことで余計に浮彫になる恵梨香の未熟さや危うさ。まるで子供。果たして、美由紀は恵梨香の心を救うことができるのか?そして、まるで利益を生み出さずに破綻寸前といわれるジンバテック社の本当の目的は?バックにはもちろんメフィストの影。下巻楽しみ。
 
この本を読むにあたって、「青い瞳とニュアージュ」は絶対。そして「千里眼 トランス・オブ・ウォー」、「青い瞳とニュアージュⅡ 千里眼の記憶」はできるだけ読んでおいた方が良い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸本(日本)長編
感想投稿日 : 2012年10月11日
読了日 : 2012年10月5日
本棚登録日 : 2012年10月11日

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