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短篇ベストコレクション現代の小説2008 (徳間文庫)についてのちいこさんのレビュー


レビュー by ちいこさん

小説   未設定  5  登録日: 2009年04月18日

私のオススメは

「笑わないロボット」中場利一
「涙腺転換」    山田詠美
「雪の降る夜は」  桐生典子
「初鰹」      柴田哲孝
「その日まで」   新津きよみ
「唇に愛を」    小路幸也

の6作品。以下はそれぞれのコメント。


「絹婚式」 石田衣良 ☆☆☆☆
「でも、こんなに簡単なことだったんだ……こんなことに十二年もかかるなんて……おれはいったいなにをしてたんだ」
セックスレス夫婦。二人は新婚のように若々しく瑞々しく、そして何より純粋。

「“旅人”を待ちながら」 宮部みゆき ☆☆
「ダメだと言われると、逆に触りたくなるものですよ、普通はね。フツーは」
劣等性の魔導師ココロが扉で旅人を待つ。起伏があまりない。

「黒豆」 諸(もろ)田(た)玲子 ☆☆☆
「不倫の恋を清算した先輩が、恋をしていたとき一番こたえたのは、旅行に行ってアイロンのかかった下着を見たことだと言っていた」
正月の事件。盛り上がりに欠けるが、タイトルはいい。

「匂い梅」 泡坂妻夫(つまお) ☆☆
「くれぐれも長生きしてください。そうすればいつかどこかで、逢える日が待っているでしょうから。」
上絵師の現状。昔の恋。ちょっと新鮮である。

「笑わないロボット」 中場利一 ★★★★★
「人が死んだ時にみんな哀しい顔をしているが、十人中八人は哀しい顔を人に見せたいためだ。」
不良和尚といじめられっこヨウイチ。奥さんのカヨ。キャラクターが秀逸。

「涙腺転換」 山田詠美 ★★★★★
「男子たるもの、その意志を貫こうとすると女に近付いてしまうのか。ああ、無情。」
涙が尿意に繋がってしまう、マザコン男。よくまとまっている。

「秋の歌」 蓮見圭一 ☆☆☆
「神谷は立ち上がって彼女に手を振り、あの子のことがたまらなく好きだと思った。」
自分は変わったのか?母親の死にゆく姿、元恋人やその娘の姿に問いかける。


「みんな半分ずつ」 唯川恵 ☆☆☆☆
「「はい、半分ずつ」それは、愛してると同義語だったはずである。」
唯川さんらしい。最後の展開が見えてしまった。「対等」とは何だろう。みんな半分ずつする男女。

「雪の降る夜は」 桐生典子 ★★★★★
「堀田さんの手って、大きくて温かいですね」
「史絵さんの手は、思ったよりずっと華奢だ。こんな細くて小さな手で、いろんな我慢をして、看護師さんの仕事も頑張っていたわけだ……」
自殺しようとしている若い女と、それを止める中年男のはかない恋。全然いやらしさは感じない。むしろ純愛。

「黄色い冬」 藤田宜(よし)永(なが) ☆☆☆☆
「同世代の女の子には臆する僕なのに、気づいたらブレーキを踏む代わりにアクセルを踏んでいた。」
黄色が勝負服の女(専務の妻)と不倫を続ける主人公。黄色の花が結ぶ、新しい恋愛。

「図書室のにおい」 関口尚(ひさし) ☆☆☆☆.5
「彼女が選んだ本たちは、どれもみんなすばらしかった。」
片想いから目覚める読書のススメ。甘酸っぱい青春。男の子が可愛い。

「ぶんぶんぶん」 大沢在昌 

「弁明」 恩田陸

「五月雨」 桜庭一樹 ☆☆☆☆
「か、家庭をつくったりだ。」
雨と薔薇、銀色の髪に薔薇の赤。山の上ホテルで繰り広げられる、色彩豊かなミステリー。

「初鰹」 柴田哲孝 ★★★★★
「今日は、和歌山の鰹が入りましたとね。」
和歌山のカツオってなに??うまいの? 夫婦の艶やかなシーンもあり、大人の作品。

「その日まで」 新津きよみ ★★★★★
「死んでてくれたらいいのに。」
女同士の薄っぺらい友情がお金でつながれている。生々しい。果たして秀美は時効を迎えられるのだろうか?

「蝸牛の角」 森見登美彦 ☆☆☆
「阿呆が三人寄っても阿呆である。」
アホの神がアホなみんなに下した結末とは。森見さんの文章に馴染むことができず、残念。

「渦の底で」 堀晃 ☆☆☆☆
「岩の中に閉じ込められるイメージは不気味だ。」
SFが苦手・・・。スターウォーズはスキなのに。

「蝉とタイムカプセル」 飯野文彦 ☆☆☆☆
「やめろおおおおおおおおおおおお――。」
強烈。同窓会でタイムカプセルを開けるという日常から、非日常に引き込まれていく。

「唇に愛を」 小路幸也 ★★★★★
「みんなで一緒に演れる。ただそれだけで良かった。」
だまされた!吹奏楽をやってる人は共感してくれるはず。ハッピーエンドの物語の先には。

「私のたから」 高橋克彦 ☆☆☆☆
「日本製でなくアメリカのジーンズだったとしたら今は三十万円前後すると思います。」
宝物は何だろう?その答えに行き着いた先にある衝撃の結末。
レビュー登録日 : 2009年04月18日


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