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偏ってます。
レビュー by chiyukiさん
主人公は「彼」、と三人称で語られているにも関わらず、一人称小説にも読めてしまう。
現実の小説、音楽、絵画や事件を絶妙に織り交ぜつつ、相変わらずの堀江節で全ての境界線を曖昧にしたまま物語は「彼」の思考を追いながら少しずつ「対岸」へと向かっていく。
「彼」と関わる人物の中で、やはり印象深いのは「大家」の老人と「枕木さん」。
その言葉はどれも箴言で、どきりとさせられたり唸らせられたり。
ところで、堀江さんの本にはいつも素敵にくたびれた(つまり、旧いけれど趣味の良い)存在感のある雑貨や調度品と、シンプルで素朴だけど手間ヒマを惜しまずに作られたものすごく美味しそうな飲食物が出てくる。
特に、食べ物関係は食欲を多いに刺激されて溜息が出るのだが、今回は、ガラパゴス産のコーヒーと、バターたっぷりにグラニュー糖をまぶしたクレープが猛然と食べたくなった。あと、マルメロのジャムってどんな味なのか気になる。
あ、それと。チェーホフ、読んでみようと思いました。
レビュー登録日 : 2010年12月04日
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