自分を育てる読書のために

  • 岩波書店 (2011年6月30日発売)
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本棚登録 : 182
感想 : 40
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公立中学校の学校図書館の司書が、子どもと本の出会いの手助けに奮闘したレポートです。
具体的なエピソードや子どもたちの反応が、生き生きと伝わってきます。

まず「すごい!」と思ったのは、司書の小幡さんが岩波少年文庫や福音館書店の児童文学を中学生に読ませることに成功していること。
最近の中学生は、ライトノベルやホラー要素が盛りだくさんで、見栄えのよいイラストで飾られたエンターテイメント性が高い本を手に取りがちなのですが…。

子どもたちとの対話を通して「あなたにぴったりの1冊」を手渡していくことは、広い視点で見れば、司書と子どもの間の信頼関係の構築なのです。
「自分を見ていてくれる大人がいる」という安心感も、不安定な思春期の子どもたちには大きな力になったことでしょう。
特に双子の兄弟のエピソードが印象的で、大切なことを学ぶことができました。

また、児童文学や本を読むことが持つパワーを再認識しました。
誰もが生きていく上で様々な壁にぶつかりますが、その問題解決のための判断力や困難に立ち向かう力を与えてくれるのが、読書なのです。
特に児童文学の主人公たちは数々の問題の前に、悩み、苦しみ、四苦八苦しながらも前に進んでいきます。
その姿は私たちの"生きる力"を育んでくれるんですね!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: おしごとのため。
感想投稿日 : 2011年9月3日
読了日 : 2011年9月2日
本棚登録日 : 2011年9月3日

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