中学生の瑠璃は、叔母の初盆のため祖母が食堂を営む風早の街を1人で訪れます。
仕事やアルバイトが忙しい両親と姉はあとから来ることになっており、それまでは祖母と2人で過ごす予定だったのですが、ちょっとしたアクシデントから数日間1人で過ごさなければならなくなりました。
見慣れぬ街で犬の散歩をしている途中に見かけた大きな洋館で、瑠璃は特別な体験をすることになるのです…。
この洋館の主人は、長くて赤い髪に、青い目をしたクラウディアという女性で、類いまれなるルリユール職人でもあります。
街の人たちもめったに姿を見たことがないという謎めいたクラウディアですが、実はとてもチャーミングな女性なのです。
ひょんなことから、瑠璃は彼女のもとでルリユールの手伝いをすることになりました。
クラウディアのもとには依頼人たちが、手には壊れた本を、心には重い事情を抱えてやってきます。
クラウディアは彼らの話を聞き、本を直すだけでなく彼らのふさいだ心も治してしまうのです。
そして、彼女のそばでルリユールの技を見ていた瑠璃の心も…。
誰かにとって特別な本を、1冊1冊手作業で修復していくルリユール職人。
クラウディアは依頼人たちに何かをするわけではなくただ本を直すだけなのですが、その特別な1冊を通して人の心をも治してしまうところに本の力を感じます。
本と猫とファンタジー好きな私にはたまらない1冊でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ヤングアダルト。
- 感想投稿日 : 2013年11月17日
- 読了日 : 2013年11月11日
- 本棚登録日 : 2013年11月17日
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