光も届かぬ水中洞窟に挑んでいく者達の冒険。
フィンのひと振りが、太古からひっそりと降り積もった超微細な泥を撒き散らし、視界をゼロにする。上下左右前後不覚の状態に陥ったうえに窒素酔いが判断力を鈍らせる…
帰路を間違え、見覚えの無い通路に迷いこんだダイバー。あるはずの出口が見つからず、焦ってロープは足に絡まり…… 押し寄せるパニックと高まる動悸。残り少ない酸素は益々減っていく。
仲間とはぐれ、洞窟内に取り残された若者。光が絶対に届かない、完全な闇が支配する中で絶望感に耐えて、救助を待つことは出来るのか?
ケイブダイビング経験者が描く水中洞窟の臨場感は抜群だ。洞窟内のほの暗さや水量、混濁の感じを、実際に自分が味わっているかのような感覚に陥る。また、著者自身が生命の危機をくぐり抜けてきたこともあり、ダイバーの不安や高揚感を我ことのように感じることができる。
世界一危険なマリンスポーツ「ケイブダイビング」。やりたくはないが、まだ見ぬ空間への好奇心を我慢できない人には、読中、ヨダレが出っぱなしの一冊だ。
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- 感想投稿日 : 2013年9月5日
- 本棚登録日 : 2013年9月5日
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