「物理学喫茶室」マスターの本棚»
乱読マスターの、よく分からん本棚です。
レビュー by Cimarosaさん
滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」は有名であるが、なにしろ分量が多くて、原本を読むわけにはいかない。
で、いろいろな人が、その人なりの「八犬伝」を書いているわけだが、この本は異色である。上下二巻。
「虚の世界(八犬伝の物語の世界)」と「実の世界(滝沢馬琴が物語を書いている世界)」が交錯して描かれる。
「虚の世界」は、単なるあらすじにとどまらず、しっかり面白いし、「実の世界」には、葛飾北斎が馬琴の友人として登場し、馬琴の実像を浮き彫りにする。
「実の世界」のラスト、視力を失った馬琴が、「八犬伝」の善と悪の帳尻を合わせるために、漢字を書けない、息子の未亡人(嫁です)に口述筆記で物語を完結させようという執念には、鬼気迫るものがある。
ラストの一文が胸を打つ。
「南総里見八犬伝」
世界伝奇小説の烽火、アレキサンドル・デュマの「三銃士」に先立つこと三年。
登録日 : 2008年05月27日 22:42:46


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