法医学現場の真相――今だから語れる「事件・事故」の裏側 (祥伝社新書200) (祥伝社新書 200)

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  • 祥伝社 (2010年4月1日発売)
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感想 : 5
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死体が語る思いを読み取る。

足利事件を始めとするDNA鑑定、遺体に残された創傷といった物言わぬメーッセージを読み取る。それが法医学者の役目だ。
現場検証や死後解剖は厳密に行われるものだと思っていたが、人によっては杜撰に済ませ記録も不十分なままにしてしまうのか・・・。写真がないのは、一般人から見ても有り得ない。スケッチだけでは客観性に欠ける。

事件だけではなく、飛行機事故など災害現場での遺体確認も行う。
飛行機事故、阪神大震災と言った事例を挙げて遺体確認の難しさ、現場で必要な体制について述べている。
事故時には法医学医師に限らず全ての医師に召集がかかるのだが、医師が災害現場の遺体確認について述べている本は初めて読んだ。
まぁ、災害現場なんて頻繁に経験するものではないので、経験者が少ないという事もあるだろう。

最後に医療事故。
著者が若い頃、注射位置の副作用で奮闘したらしくその経緯から始まり、最近の産科離れまで述べられている。
今まであまり思わなかったが、たしかに医療事故は止む得ないか、過失かが論点になる。その分野はまさに医と法の重なる部分だ。
医と法についての根本的な部分ではなく、個々の事例に焦点が当てられていたのが、私の知りたい事とズレてて残念。

法医学の入り口として面白く読めた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2010年5月15日
読了日 : 2010年5月15日
本棚登録日 : 2010年5月15日

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