本棚

　最近の不況とか何かこう経済的なものに対する啓蒙みたいに感じてしまって、個人的に余り楽しめなかった。読み始めたらいっ気に最後まで読ませてしまう魅力、筆力？　は相変わらず凄いと思うのだけれど。

　印象的にはIWGPのアメ横版。でもあくまでボランティアの一般人というスタイルを貫き通す感じ。なので、そこまで色々な事情に深く首を突っ込んだりすると言うことはないですが、皆キャラが立っていたので普通に面白かったです。しかし、アポロの滲み出る得体の知れなさは何なんだろう。特別凄いことをしてる訳でもない気がするのに、何となく「こいつ不思議」みたいな印象がぬぐえません。この感覚は微妙に伊坂作品に登場する泥棒・黒沢を見てる時の感覚に近いかもしれない。で、結末でちょっとしんみりしました。
　とりあえずおじいさんはあの面子と知り合えただけでもちょっとした救いになってるといいなーと戯言。

　後、明らかにこれはミステリーではないと思う。

　道理でラッシュライフとかフィッシュストーリーっぽいと思ったら、まだ伊坂さんがそういう作風の頃に書いたものだったんですねえ。ランナウェイ・プリズナーとか、田中さんとか、昔の作品のちょこちょこでてきたワードが出てくると、何となく嬉しかったりします。個人的にはゴールデン・スランバー以前のものが好きなのですが、もうそういうのは書かれないのかしら。

　何故か終末のフールと似た空気を感じた。じりじり近寄ってく二人が好きだ。入江の壊れてる感も、結構嫌いではない。