火車 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1998年1月30日発売)
3.82
  • (3442)
  • (3885)
  • (4415)
  • (440)
  • (101)
本棚登録 : 34437
感想 : 2960
3

多重債務問題を核として、クレジットカードの功罪、住宅ローンの重圧、破産者の悲劇や戸籍乗っ取りの闇などを描く。
次第に明らかになる「関根彰子」と「新城喬子」の凄絶な人生、両者の交錯、そして新城喬子の行方。ついに加害者本人の口から真相を―というところで物語の幕は唐突に下ろされてしまうが、それがかえって読後に深い余韻を残す。
ただ、クレジットカード会社を加害者、多重債務者を被害者と位置づける短絡的、片面的な描写には興ざめしてしまう。自己の資力をかえりみずに借財を重ねる多重債務者の思慮浅薄も非難されてしかるべき。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年3月3日
読了日 : 2015年3月2日
本棚登録日 : 2015年3月2日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする