レビュー by coco_natuさん
本を読むのはお風呂と寝る前に決めているのだが、どうしても続きが読みたくなってしまって、ついつい寸暇を探しては読んでしまったという貴重な一冊だ。 最初から最後まで、こんなに楽しめた小説ははじめてだ。
アンティークの着物の店を谷中で営んでいる栞は、日々の小さな生活を大事に愛おしむかのように過ごしている。着物に携わる者ならではの、季節に対する敏感さとでもいおうか。私にはまったくないことであるがゆえに、その細やかな感性に感嘆せずにはいられない。
そんな栞が春一郎さんという一人の男性と出会ってしまった。そして、その春一郎さんもやはり季節の趣を大事にする人である。読んでいてじれったいくらいに行事ごとにせいをだし、ふたりでおいしい季節のものを食べることにせいをだし・・・それでも確実に二人の間にはほのぼのとした愛が育まれていく。
だが、春一郎さんの薬指には・・・・。
学生時代をともに過ごした雪道くん。もう余生が長くはないけれど、栞を粋なデートに誘ってくれるご近所さん。
それぞれが栞に対して、心温まるものをさずけてくれる。
読みながら、スローだけれど、いいなあ。私にはできないけれど、いいなあ。。とにかく、なんだかいいなあと思わずにはいられない。
ひとつ心にひっかかったことがある。ご近所のご近居さんが栞の相手の話を聞いて言ったことだ。「だれでも一度は間違いをおこすことがある。」
結婚だって間違うかもしれない。だけど、なんども不倫を繰り返すというのは、なんだ、フォークダンスと同じだというのだ。相手をとっかえひっかえするのが普通になってしまう。そういうのはだめだ。
なるほどねぇ。。。。で、春一郎さんは絶対にそんな人じゃないらしいが、その点については少々疑いを捨てきれない私である。
でもまあ、それに気づかないのも、ある時気づくのも人生かもしれないなどと思うようになったこの頃である。
レビュー登録日 : 2011年11月17日
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