アクロイド殺し (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 3)

  • 早川書房 (2003年12月15日発売)
3.94
  • (656)
  • (842)
  • (630)
  • (69)
  • (10)
本棚登録 : 7690
感想 : 704

深夜の電話に駆けつけたシェパード医師が見たのは、村の名士アクロイド氏の変わり果てた姿。容疑者である氏の甥が行方をくらませ、事件は早くも迷宮入りの様相を呈し始めた。だが、村に越してきた変人が名探偵ポアロと判明し、局面は新たな展開を…驚愕の真相でミステリ界に大きな波紋を投じた名作が新訳で登場。
(「BOOK」データベースより)


まだ本書を読まれていない方、これから読みたいと思われている方は、読み終えたあとに以下を読んでいただけると嬉しく思います。読む前の情報は、少なければ少ないほど、いいと思うからです。






初読は20年ほど前。高校生の頃、友人に勧められて読んだのがきっかけだ。このミステリがクリスティとの記念すべき出逢いとなった。
その頃はインターネットも普及しておらず、情報も積極的に集めようと思わなければ手に入らない時代。もちろん、初めて出逢う作家「クリスティ」については何も知らず、その作品についての情報も持っていなかった。ただ、ミステリは好きだったので、手を出してみただけ。
その時に読んだのは、ハヤカワミステリではなかった気がする。新潮文庫ではなかっただろうか。タイトルも「アクロイド殺人事件」であった。そして、最大の魅力は、ポワロが犯人を指摘する箇所である。ページをめくるとすぐ1行目に衝撃的な台詞があった。どれだけ胸がドキドキしたことか・・・。また同じ気分を味わいたいと切に願う。しかし、そういったミステリにまだ出逢えていないのが残念だ。

その後も何度もこのミステリを繰り返し読んでいる。何度読んでも飽きることなく、伏線を愉しみながら読める。やはり、クリスティ作品は私に合うのだ。特にヘイスティングズが出てこない本書には、ポワロの相棒としてシェパード医師が登場。ヘイスティングズより冷静で寡黙で控えめだが、正確で緻密、そして決して嘘は出てこないシェパード医師の語り(これが語りかどうかは、読んだ方のみで判断して欲しい)。立派なワトソン役である。

一番魅力的なのはシェパード医師の愛すべき姉、キャロラインかな。何でも自分が一番わかっていると思いこんでいる、少し頑固でおしゃべりで好奇心旺盛でお節介だけど、とても優しい女性だ。彼女の今後も気になるところ。

この物語がドラマになった。デビッド・スーシェのドラマ。映像化は一二を争うくらい難しいと思っていたのだが、案の定、苦労のあとが見えた。DVDの結末には納得がいかない。やはりここは原作を大切にしてもらいたいものだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ポワロシリーズ
感想投稿日 : 2010年8月12日
読了日 : 2010年8月11日
本棚登録日 : 2010年6月29日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする