行く先を変えることは出来ないけれど、来た道を辿ることは出来るのかもしれない…。
表通りから離れた狭い路地にひっそりと佇む古い長屋。
その長屋の周囲で起こるちょっと不思議な出来事。
知っているはずなのに見知らぬ所に迷い込んでしまったような、心細さが随所に漂う。
長屋の住人達や周囲の人達の、家族ぐるみの仲の良さが一層物語の儚さを煽る。
そして最後に迎えた「はじまりの時」…何とも言えない切なさに泣けた。
別れの寂しさとはじまりの予感、相反する気持ちに胸打たれた素敵な物語だった。
読了後、表紙の赤い糸に気付いて、また泣けてきた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
木内昇
- 感想投稿日 : 2017年8月20日
- 読了日 : 2017年5月14日
- 本棚登録日 : 2017年5月12日
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