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奔放な読書(courbet)


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奔放な読書»

大衆小説、ミステリが多いです。たまにエッセイや神話も。読んで感じたこと、思ったこと、正直な感想を書いています。

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シンデレラの罠【新訳版】 (創元推理文庫)

セバスチャン・ジャプリゾ 平岡 敦

/ 東京創元社 / 2012年02月28日 発売



小泉喜美子お姉様推薦の一冊。ミステリというよりはサスペンスに近い気がします。少なくともトリックを暴いて犯人が見つかってめでたしめでたし、という明快なミステリではありません。
火事にあって火傷を負い、記憶をなくしてしまったミ。同じ火事で死んでしまったドは幼馴染み。後見人のジャンヌがミを隔離しようとするのはなぜ?生き残ったのは誰?「私は探偵で、犯人で、被害者で、証人なのだ」のコピーに偽りなし。読んでいる方も何が何やら分からなくなってきます。これは誰が話しているのか、これは本当に起こったことなのか、もしかしたらメタミステリなのか…と混乱が混乱を呼ぶような。それぞれの登場人物の心理も明らかにはされません。殺意を持ってはいるけど単なる利害の問題ではない。愛しさが憎しみになり、その愛しさも家族愛なのか友人としてなのかそれとも…。普通なら不可解なミステリとして読む気なくすんですが、はっきりしないのが逆に興味を引き余韻を残す。モヤモヤ感を味わう作品になってます。まさに「前衛芸術」。好みは別れるだろうと思いましたが、結構は高いんですね。ちょっと意外でした。


2012年05月31日 | コメント(0) | 海外ミステリ | 読み終わった (2012年05月31日)

しずかな日々 (講談社文庫)

椰月 美智子

/ 講談社 / 2010年06月15日 発売



確か中学生の頃、自分にとっての「普通」は今ある自分であって、他の道を歩いている自分は想像できない、と思ったことがあります。自分にとっての「普通」が自分を作り上げているんだな、と。
ある小学生の、ある年の夏休みの話です。小学5年生。大人を無条件に信頼できたギリギリ最後の頃でしょうか。家族は母親だけ、閉じた生活を送ってきた少年でしたが、初めて友達ができ、母親の仕事の都合でほとんど会ったこともない祖父と暮らすことに。「だれかと一緒にいるっていうのは、こんなに楽しい」と知った、光輝くような夏の思い出。「人生は劇的ではない」と大人になった少年は言います。過去をひっくるめて、起きたことや起こることを静かに受け入れて生きていく。タイトルの「しずかな日々」はそのまんま人生でもあるのです。
穏やかな波にのっていたらそのリズムがしばらく体に残って消えないような、余韻の残る一冊です。


2012年05月30日 | コメント(0) | 国内小説 | 読み終わった (2012年05月30日)

お姫さま大全 100人の物語

井辻 朱美

/ 講談社 / 2011年03月04日 発売



もしかして子供向けの本だったんでしょうか。ほとんどの漢字にルビがふられていて、読みやすいような読みにくいような。
神話の時代から20世紀まで、実在・仮想問わず100人のお姫様について紹介している本です。中には姫ではない人もいますが、まぁ姫的な立場とは言えるかも。名前の50音順に並んでいるのでアンドロメダの後にあんみつ姫、ピッピの後に卑弥呼、なんてことになり、ノリをどう切り替えたらいいかと戸惑いつつもそれが楽しかったりする、ある意味ジェットコースター系の一冊。一人一人の略歴がごく大雑把になってしまうのは仕方がないですね。これ以上ページを割いたら姫に憧れる女の子には似つかわしくない図鑑になっちゃいますし。
「お姫さまの世界」なる写真ページの服飾品や建築には思わずうっとりと見とれてしまいます。ほんとにこんな宝石つけて、こんなドレス着て、こんなお城を歩いてた人がいたんですねぇ。…重くてきつくて歩きにくくて大変だっただろうなと思ってしまう辺り、根っからの庶民でございます。


2012年05月29日 | コメント(0) | 実用 | 読み終わった (2012年05月29日)

文学賞メッタ斬り! (ちくま文庫)

大森 望 豊崎 由美

/ 筑摩書房 / 2008年01月09日 発売



乱立している文学賞の特徴や受賞作、さらには選考委員の好みや選評まで紹介してくれる対談です。二大文学賞については、やっぱり皆同じように思うんですね。選考委員の方々に関する意見を読んでいるともう、「そう思うでしょ?思うよね!」と実際にテーブルをべしべし叩きそうになりました。急にマニアックな趣味について語れる仲間が出来たような喜びが味わえます。お二人の対談に割り込みたくなることもしばしばですが、熱意や知識がほぼ同じレベルでないと難しいんだろうな~と若干引いたのが「新文学賞の提案」。それはちょっと遊びすぎでは…選考委員もいじりたいがための人選になってるし…。
同じ文壇に所属していながらこれだけ毒舌吐いて、その一方で自分に非があればちゃんと謝ったり教えを請う事ができる。仕事に対するその姿勢は勉強にもなりました。


2012年05月27日 | コメント(0) | 書評 | 読み終わった (2012年05月27日)

君に舞い降りる白 (集英社文庫)

関口 尚

/ 集英社 / 2007年09月20日 発売



鉱物を売る会社「石の花」を舞台に繰り広げられる青春恋愛小説。えらいドラマチックなタイトルがついてますが、原題の「あなたの石」のままの方が良かったんじゃないでしょうか。
ひとつひとつの出来事や行動が、ひどく機械的に感じられました。優しいと言われたから照れました、ひどい別れ方をしたからひきずってます、まるでこの時にはこうしなきゃいけない、と公式が決められているような。主人公の恋愛にばかり興味津々の同僚たちには、他に心配してやることがあるんじゃないかとため息をつきたくなりますし(主人公は結構な性格破綻者だと思う)、他人のことには首を突っ込みながら自分のトラブルは自分で解決できると思い込んでいる自己陶酔には、一度へし折られてこいと蹴りを入れたくなります。石の説明にしても、図鑑の解説を読んでいるようで魅力があまり感じられない。劇団員たちは一生懸命なんだろうけど下手な舞台を見てしまった時のような戸惑いが最後まで消えませんでした。
地域の特性を文章に生かしているのはいいな、と思うんですが…。風景描写や雪の東北の寒さの表現にはちょっと惹き付けられました。


2012年05月25日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月25日)

三匹のおっさん (文春文庫)

有川 浩

/ 文藝春秋 / 2012年03月09日 発売



会社の定年と道場の閉鎖を同時に迎えたキヨ。居酒屋の看板を息子に譲り半分隠居生活のシゲ。年の離れた娘と二人暮らしの工場経営者ノリ。悪がきとして名を馳せた幼馴染みの三人が、還暦を期にご近所を守る正義の味方となって大活躍!現代の高齢者が抱える憂いや不安はどこにもありません。世代の違いにため息をついたり、時代の変化に首をかしげたりはするけれど、足踏みも焦りもせずにトラブルを解決する様は実に痛快。よっぽど中年や若者より前向きでしっかりしてます。けど面白さ以上におとぎ話の印象が私には強かったです。祐希の見た目や口の悪さに隠れた優しさや、早苗の理想の娘っぷりも含め、およそ現実的とは言いがたい。そこがいいんです。甘い!甘すぎる!と突っ込んだり、こんな優等生ばかりなら苦労しないよと呆れたりするけれど、この作品のなかでくらいこんな理想が叶えられててもいいじゃない、と思える。お伽噺バンザイってなもんです。
本編とは別ですが、文庫版あとがきを読んで泣きそうになりました。自分の感覚に素直に本を褒めることができる、こんな本読みになりたいなぁ…。


2012年05月23日 | コメント(0) | 国内小説 | 読み終わった (2012年05月23日)

時のかなたの恋人 (新潮文庫)

ジュード デヴロー Jude Deveraux 幾野 宏

/ 新潮社 / 1995年12月 発売



「古書店アゼリアの死体」より。紅子さんは「寝言も言ってみるもんだ」と言ってましたが、いやー、言わない方がいいでしょう。歴史を変えるなんて重圧は背負いたくないですって。
アメリカ人教師のダグレスは結婚がかかったイギリス旅行中恋人に無一文で放り出されてしまいます。そこへ表れた騎士様は400年前から来た人で…。彼を元の時代に戻してハッピーエンドかと思いきやまだまだトラブルは続いたり、文明の利器に対するニコラスの反応を重ねたり、スラップスティックにもできそうなんですが少々テンポが悪いかも。もっと笑える書き方ができるんじゃないかと偉そうなことを思ってしまいました。が、ロマンスにはありがちな展開や都合のよい設定でも不快にさせず、やっぱりそうくるかとニヤリとするような、お約束を楽しめる作品になってます。タイムスリップものというよりは、コミカルなロマンスというところですね。個人的にはSF色がもう少し強い方が好みです。


2012年05月22日 | コメント(0) | 海外小説 | 読み終わった (2012年05月22日)

マリリン・モンロー 7日間の恋 (新潮文庫)

コリン クラーク Colin Clark 務台 夏子

/ 新潮社 / 2012年01月28日 発売



好意のフィルターを介して描かれていることを差し引いても、「マリリン・モンロー」になれるのは彼女しかいないんだなぁとつくづく感じました。どんなに似ている人がいたとしてもきっと「マリリン」にはなれない。本人も偶像に翻弄されてはいたのでしょうが、その戸惑いやコンプレックスでさえ「マリリン」の魅力になってしまう。皮肉な巡り合わせです。あとちょっとでも彼女の頭が悪かったり、自惚れが強かったり、奔放だったりすればもっと楽に生きられたでしょうに。ギリギリのバランスの上に危うく成り立っていたのが「マリリン」という存在で、彼女が耐えきれず崩れそうになっていたところにいたのがスタッフのコリン。この本の著者です。
コリンとの関係は恋と言えるのかどうか微妙なところ。特に彼女の方は恋人よりも心許せる味方として大事な人だったのではないかと思います。順位をつけるのであれば恋人よりも上だったかもしれません。正直、本当の事かどうかはどうでもいい。ただ、彼女にもこんなことがあったのならいいなと思います。


2012年05月17日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年05月17日)

マスキングテープでつくるかわいい雑貨 (Handmade Series)

m&m&m‘s他

/ 学研パブリッシング / 2011年11月22日 発売



先日雑貨屋さんでマスキングテープのセットに心を奪われ衝動買い。見てるだけでも幸せになれるのでいいんですけど、どうせなら活用したいな~、とこちらの本も購入しました。ものに貼るだけではなく、マスキングテープで作れる花や蝶の型紙もついているので色々試してみたくなります。実際に使っているテープのメーカーさんまでわかるので、より掲載作品に近いものができるかもしれません。不器用とセンスのなさには自信がある自分にとってはハードルが高そうで、結局まだ使えてはいないのですが、一個くらいは試しに作ってみたい。


2012年05月09日 | コメント(0) | 写真・イラスト・美術 | 読み終わった (2012年05月09日)

マリー・アントワネット 上 (角川文庫)

シュテファン ツヴァイク Stefan Zweig 中野 京子

/ 角川書店 / 2007年01月 発売



マリーアントワネットというとどうしても華やかで派手な印象が浮かび、革命後はただ断頭台に上がるのを待つだけだったんだと思ってました。この作品では上巻で革命が起きてしまうため、下巻は途中で内容が尽きてしまうのでは?と疑問でしたがとんでもない。若く軽率でとにかく楽しみを追い求めていたマリーが、「風と共に去りぬ」のスカーレットのような強さを持った女性に変貌し、歴史と戦っていくのです。親しい人との別れ、脱出計画の失敗を繰り返しても、最後まで王妃としての矜持を捨てず、生に固執し自由を求める。そりゃあ引き付けられずにいられません。ベルサイユ時代も、自分では御しきれないほどの地位と権力を握ってしまった女の子が柵から解放されて破目を外しすぎた感があり、そうなってくるとソフィア・コッポラ監督の映画での描かれ方も早々外れてはいなかったのかな、と。当時の手紙や残された資料も取り上げられるので、かなり史実に近い小説になっていると思われるし、この時代そのものや脇役にも興味がわいてきます。神話や古代ギリシャの例を引いてドラマチックに表現する文章にも引き込まれ、一気に読みきりました。


2012年04月29日 | コメント(0) | 読み終わった (2012年04月29日)

陽だまりの偽り (双葉文庫 な 30-1)

長岡 弘樹

/ 双葉社 / 2008年08月07日 発売



ミステリでもあり、読ませる小説でもあり。連城三紀彦さんの位置付けに近い感じがします。痴ほう症の兆候を感じとり、家族に隠そうとする老人。補導された息子を迎えにいった帰りに事故を起こしてしまったシングルマザー。人事異動を前にした市役所でおこった事件に、実家の写真館の借金に追い詰められたカメラマン、事件に巻き込まれた息子の対応に振り回される父親…。ミステリ抜きに小説として成り立ちそうな設定ですが、謎が解けると同時に自分自身の問題や状況に気づかされる、その鮮やかさが見事です。話題の「傍聞き」の前に発表されたデビュー作にも関わらず、文章に不自然さもなく、派手な展開も無理に仕込んだお笑いもないので気持ち良く読むことができました。特に子供たちの心意気がよいです。実際に存在するわけではないけれど、こういう子達がいれば未来は明るい。


2012年04月25日 | コメント(0) | 国内ミステリ | 読み終わった (2012年04月25日)

牛への道 (新潮文庫)

宮沢 章夫

/ 新潮社 / 1997年04月 発売



前書きにある通り教訓を求めるのではなく、ただ不思議な感じ、変な感じを味わってたまに吹き出してしまうようなエッセイです。全体に共通するのは、どうでもいいことを「なぜこうなのか」「こうだったらどうだろう」と考えるなかで生まれる面白さ。最初の方は深刻なほど真面目に仮定を作り出し、中盤は著者の感覚を前にだしておかしさを断じる。そういえば舞台の笑いってこういう視点から生まれ、発展していきますよね。書かれたのが1992年頃ということで、少々古さや感覚の違いが気になることもありますが、普遍的なユーモアといえるのではないかと。
びっくりしたのは今平行して読んでいる「アルス・アマトリア」がでてきたこと。そういう偶然には特別なものを感じるのはやはり皆さん共通ですね。


2012年04月17日 | コメント(0) | エッセイ | 読み終わった (2012年04月17日)

クレイジー・クレーマー (実業之日本社文庫)

黒田 研二

/ 実業之日本社 / 2012年04月05日 発売



クレーマーと万引き犯への対応に四苦八苦し体調も崩しつつある郊外のスーパーのマネージャー袖山。度重なる嫌がらせ、身に迫る危険に追い詰められ、辞表を叩きつけたと思ったら…。確かに帯にある通り騙されたままだったところもあります。納得のいく説明ではあったし、ヒントも実はちゃんとあったのでフェアでもある。読者の目をくらます構成もしてるので、クリスティを読んでない人ならより騙されたと思います。が、全体的にゲームチック。残虐な表現もそうだし、一定の状況を作り出すための展開に終始する点も気になりました。ミステリにリアリティーを求めるのは限界があるけれど、まずこれだけのトラブルが起きたらスーパー側も従業員の安全を守るために手を打たなきゃいけない。切なさと余韻を残したかったんでしょうけどあのラストでクマを可愛いと言っていられる従業員の感覚はおかしい。その他もろもろ言い出したらきりがありません。
どうでもいいんですが、クラウンとセダンって同じ車ですか?違うよね?


2012年04月15日 | コメント(0) | 国内ミステリ | 読み終わった (2012年04月15日)

アール・デコの館―旧朝香宮邸 (ちくま文庫)

藤森 照信 増田 彰久

/ 筑摩書房 / 1993年04月 発売



大原美術館、東京国立近代美術館工芸館、そしてこの庭園美術館のように、元々あった建物を使った美術館が好きです。独特の雰囲気があって、壁や柱に触れたくなることもしばしば。庭園美術館(旧朝香宮邸)の改装前にも駆け込みで行って、撮影可というのに大喜びして写真を撮りまくってきたものの…シャッター押しただけの写真ばかりで当時の感動も台無しで…。しかしありがたいことに、この本があればその時の喜びが思い出せます。エントランスのラリックのガラススクリーン、香水塔、シャンデリアにグリル。価値も様式も分からないままに、ただワクワクして嬉しくなってきます。そしてその分からないことを文章で紹介してくれるので、まるでミュージアムガイドさん付きで館内を回っているような贅沢な気分に。パリ万博の様子も、朝香宮邸が作られる過程も、読んでいるとまるでその場にいるかのようなタイムスリップ感も味わえます。欲をいうなら、2階の個人の部屋の壁布や照明についても解説があればもっと嬉しかったです。


2012年04月14日 | コメント(0) | 写真・イラスト・美術 | 読み終わった (2012年04月14日)

猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)

大山 淳子

/ 講談社 / 2012年03月15日 発売



テレビ局と出版社主催のドラマ原作賞をとった小説です。頭は切れるけれどヘタレな弁護士、トラブルに巻き込まれた売れないお笑いコンビ、謎の老婆に成り上がり丸出しの企業社長、結婚相談所のツンデレ職員…。実に分かりやすいキャラ設定です。「大誘拐」を知ってる人ならメインとなる事件の展開に目新しさは感じないでしょうし、伏線とするには全てのできごとが堂々と繋がりすぎるし、ミステリとするのは無理。弁護士の仕事についても事務所の猫についても大した描写はなく、百瀬が顔を出せば全ては丸く解決する展開の都合よさは読み物としても微妙。天然不思議ちゃん的な笑いと、全ての人があっさり善人になってしまう楽天さではユーモア小説としてもハートウォーミングストーリーとしても首をかしげるしかなく…。ドラマの原作というより、シナリオを書いてから小説に仕立て直したノベライズに近い感じがします。連続ドラマにするなら話が追いやすくて1、2回見逃しても着いていけていいかもしれません。
個人的結論。猫弁と名乗るからにはもっと猫を出して!


2012年04月12日 | コメント(0) | 国内小説 | 読み終わった (2012年04月12日)


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