神去なあなあ日常 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店 (2012年9月7日発売)
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三浦しをんを、軽い気持ちで読みたくなり。(前回読んだ『私が語りはじめた彼は』は、なんか重かったので)
林業について全く知らなくても、躓くことなくスイスイ読み進められる、親切で巧みな話運び。
いやー、さすがでした。

以下、印象的だったところ。
・「なんかこう、春はすべてにメリハリがつくって感じだ。」(p.73)
・「なにをしに神去山へ入ったかをほとんど忘れ、俺はうっとりしながら歩いた。あー、もうずっとここにいたいなあ。」(p.108)
・「振り返ったら、祐子さんが『すみません』というように軽く頭を下げた。いえいえ、かまいませんよ。山太のお守りは、もう慣れたもんっす。」(p.213)
・「夕風にあたった皮膚はどんどん冷えていき、体の芯の部分にだけ、『今日もよく働いたなぁ』っていう満足が熱になって残る。」(p.237)

田舎の暮らしや昔ながらの営みの中に、人間の牧歌的なところ、肉欲的(?)なところ、大いなる自然への畏怖と諦念、素朴で正直で分を弁えた、しゃんとした思想の柱みたいなものが感じられて、
いいなぁ、羨ましいなぁ、と感じました。
私のバックグラウンドには、こういうのないもんなぁ
私事ですが、旦那の実家はこれにちょっと近いところがあって、彼の家族には、こういうバックグラウンドがあるんだよなぁ
でも、本作の主人公・平野勇気のように、余所者でも、そこにどっぷり入ることが出来れば、そのエッセンスを感じる権利は与えられるんだろう。
余所者扱いされても、気にしない。だって余所者だし。
気長に、自分が出来ることをまじめに訥々と、オープンマインドでいることですな。
ストーリーから外れて、そんなことを思ったりしました。

うん、面白かったです。続編読もう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年4月30日
読了日 : 2017年4月29日
本棚登録日 : 2017年4月29日

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