レビュー by Cyberさん
『巧妙が辻』などの脚本家として知られる大石静氏のエッセイ本。
『ニッポンの』という題名から、得てして、固く、仰々しく、マクロ的な視点で、あまつさえ右にも左にも寄るような内容を想像しがちですが、そんなことはなく、氏の視点で、あくまで経験則と日常生活を元に、軽く、ウィットに富み、少々皮肉をスパイスした文章で綴られている本です。
この内容そのものが『=日本の現状』というふうに直結することはほとんど無いけれど、読み進めていくうちに、「あ、何となく分かる気がする」と思ってしまうこともしばしば。『婦人公論』といった、女性向けの雑誌に投稿したエッセイをまとめているので、どちらかというと、年配の女性が読むと割りと共感を得そうかも。だからと言って男性や若年層が共感は得られない、というのではありませんので、「こういった視点もあるんだ」という気持ちで読むといいと思います。
内容としても、特別に日本の将来に危機感を提示しているものでもありませんが、身近な視点で描いているだけに、小さな事でもその積み重ね次第で、日本という国の未来が大きく揺らいでしまうこともある。氏自身としても、こうあって欲しいという、願いに似たような提言がいくつかありますが、結局のところ、選ぶのは僕達で、僕達の気持ち次第、というところでしょうか。
また、『日本の今昔』についての言及が比較的多いと思いました。「昔は良かった」的な。そこまで強い意味ではなく、どちらかと言うと「今は昔に比べて寂しい」という感じでしょうか。「昔に戻せ」と強制しているわけでもなく、「今」もいいところがあると思う上で。
人も土地も国も、時と共に変わっていく。でも変わって欲しくないものもある。昔を知っていれば尚更のこと。きっと僕自身も、あと数年数十年もすれば、そんな思いを抱くようになるのでしょうか。
登録日 : 2008年08月13日 19:42:27


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