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Cyberさんの本棚 > レイン・フォール/雨の牙


レビュー by Cyberさん

book   5

バリー・アイスラー著のミステリー小説『レイン』シリーズ第一作。

改めて「小説は麻薬と同じ」と思わせるような作品と出会った瞬間。疲れてすぐに眠りたいのに、読み始めただけで先が気になりそのまま読み続けてしまうのは、章を追うごとに目まぐるしく登場人物の立ち居地や居場所が変わるからか、それとも『東京』の描写があまりにもリアルだからか。まるで何年も東京に通い観察してきたような描写は、もはやアメリカ人とは思えないほど。いや、むしろ『日本人でない』からこそ、既成概念に囚われず『東京』を隅々まで観察できたのではないかと思います。

主人公ジョン・レインは、自然死に見せかけるようにターゲットを殺す凄腕の殺し屋。その日のターゲットをいつも通りに殺した後、ターゲットの娘と運命的な出会いを果たす。しかし、その娘も殺しのターゲットと告げられた瞬間、全ての運命が狂い始める。その背景には、日米関係を揺るがしかねない、ある機密情報の存在が絡んでいる。
『機密情報』が絡む手の作品は、得てして話の規模が大きくなりがちになり、仕舞いには主人公は突拍子も無い立場に転換する(あるいはされる)ことになる(大抵は世界を救うとか)のですが、この作品の主人公は一貫して世界情勢の変動に全くといっていいほど興味が無く、ただ自分の守りたいものを守る為に動くところが特徴です。それが例え大多数の人にとって間違いだとされても、終生敵視となることでも。
ただ、ハードボイルドの主人公もしくは殺し屋が、ターゲットもしくはそれに関わる誰かに感情移入するのはよくある展開ですが、ちょっと早すぎなんじゃないかと思うくらい序盤にあります。しかし、機密情報を狙う勢力が四方八方から登場し、複雑怪奇に絡む以上、致し方ないかもしれませんが。

ベールが剥がれた『ジョン・レイン』シリーズ。今後の展開に目が離せません。 登録日 : 2009年04月11日 08:12:15


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