レビュー by Cyberさん
バリー・アイスラー著のミステリー小説『レイン』シリーズ第二作。
前作『レイン・フォール』は、日米両政府を揺るがしかねない機密情報が詰まったディスクの攻防を描いていますが、今作は複数の物語が独立した路線で動いています(実際のところは、独立しているようで水面下では少ないながらも関わりがあるようですが)。交わっているようで交わっていない、けれど、それぞれ共通している事項は、ジョン・レインを探すこと、探す目的は、彼を利用するか、もしくは殺すか。また、それぞれの物語の裏で、多かれ少なかれこの作品の黒幕とも言える山岡(信念党の党首)の存在がちらつくこと。
前作での彼の活動の経緯と、戦場を始めとする切迫した状況の中で身を置いていた彼だからこそ、どんな状況でも彼は的確な判断と行動力を発揮します。しかし、流石の彼も忘れえぬ人との出会いと親しくしていた友人との予期せぬ別れは、少なからず動揺させてしまったようですが…
今作、最初に登場した場所が大阪でしたから、もしかしたら作品を追うごとに日本の都市を津々浦々と紹介、と想像していましたが、タツからの仕事の依頼上、やはり東京に舞い戻ってきたようです。
腐敗した政界を根絶やしにするために日々活動を続けるタツ。そのために邪魔となる人物は排除しようとするも、公式ではなく非公式に排除しようと企てる。そのために必要なのは、自然死に見せかけて殺せる手腕を持つ人物。しかし、その人物を虎視眈々と狙っている他の勢力も。そのために利用された人物。今までに無く複雑に絡み合った陰謀が彼を取り巻く環境や運命を大きく動かす。まるで、その連鎖の中心はレイン本人であり、断ち切るためには、自分の存在をなくすしかない…
大きな転換点とまではいかないものの、その後の彼の宿命を決定付ける上では非常に興味深い作品です。彼の向かう先は救世か破滅か、今後に目が離せません。
登録日 : 2009年05月03日 09:13:45


コメント
まだコメントはありません。