私自身、震災をきっかけに関東から関西へ移住した人間なので、それで興味を持って、この本を購入しました。
ただ、読んでみると、期待していたような、原発や移住といった問題に際しての、混沌とした思考や感情をやわらかくほどいてくれるような、そういった類いの内容ではなかったけれど、単純におもしろかった。
特に一番すきなのは、朱里の話。
くすっとしながら、読んでいました。
逆に、最初の二話は全然よくわからなかったし、なんとなく不快感があった。
2017年2月3日
2015年5月8日
大好きな作家、角田光代さんの「この作家すごいの書いた!」というようなツイートを読み、それから大好きな音楽家、椎名林檎さんとの対談をテレビで見、読んでみたい!と購入。冒頭を読み始めたところで、直木賞受賞が決まり、これはもうますます読まねば!という気持ちで読み進めました。
なんて地味な物語なんだろう、というのが最初の感想。本の帯や書店でのPOP、ネットでの評判など、これはもう壮大な物語がでてきたぞ!というような触れ込みで、いや、だけれども、果たしてこれが本当にその物語なのか?と疑問を抱くような、いたって地味なストーリーライン。
イラン、エジプト、大阪という、異国感・色の濃い土地が舞台で、更に登場人物たちはそれぞれ個性的、一筋縄ではいかないひとたち、というインパクトの強さはあるものの、語られているエピソードは、ある家族の日常でしかなく、しかもそれがかなり丁寧で詳細な描き方なので、リアルではあるけれど、“詳しく詳しく延々説明される家族史”という印象もあり(しかも、馴染みのない国が舞台である、というちょっとしたハードルつき)、飽きてしまって途中で投げ出す人も多いのではないか、小説好きでなければ最後まで読めないだろうな、とそんな風に思い、私自身、ぐんとのめり込むことなく、ほんとにこれが話題作?(批判的な疑問ではなく、万人受けするだろうか?という意味で)と不思議に思いながら、読んでいました。
のめり込めない要因のひとつとして、基本的にはリアルなのに、どこか大袈裟で、大雑把で、嘘くさく感じてしまうようなエピソードがちらほらあること、が気になりました。設定の細かさと、そのへんの「物語感」に、どうしても違和感を覚えてしまう。
のめり込めない、というより、そういったエピソードにぶちあたったときに、現実に引き戻される、というか。
しかし西加奈子という作家さんは、すごく彼女らしい文章を書く人だなと、改めて思いました。明るさと、天真爛漫さと、芸術に対する純真な愛と、関西人らしいテンポとノリ。
たくさんのエピソードが出てきますが、一番印象に残り、好きなのは、「クレヨン」のエピソード。
あと、一番笑ったのは、「キミハヒワイダトッ!」
これは、ほんとにおもしろかった。。
ところどころ、ひっかかりもありましたが、たくさんのきらきらしたエピソードがあり、読み応え十分、面白かったです。
2015年4月23日