大昔に買った本。今でも手元にあります。
脚本家、山田太一ならではの短く応酬される台詞回しの妙が楽しめる。
ある日突然時間が逆行し、どんどん若返っていく老女と、閑職に追いやられた中年男性の刹那的な恋愛小説。若返った老女は生き急ぐようにこれまでの時間を急速に遡り、「時間がない」と焦燥感に追い立てられながら、やがて子供になり、巻き戻しの時間を使い切る。
エロティックな要素が強い物語だが、全編通して言いようのない儚さと哀しさが漂う。少女或いは幼女の年まで若返ってしまった女を相手に、それでも肉体関係に溺れる主人公には些か鼻白むが、愛する女が過ごしてきた時間をひとつも残さず、彼もまた遡っていたのかと思えばそれも哀しい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
【書籍】著者◆や行
- 感想投稿日 : 2011年3月10日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年3月9日
みんなの感想をみる