飛ぶ夢をしばらく見ない

著者 :
  • 新潮社 (1985年11月1日発売)
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本棚登録 : 18
感想 : 4
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大昔に買った本。今でも手元にあります。
脚本家、山田太一ならではの短く応酬される台詞回しの妙が楽しめる。

ある日突然時間が逆行し、どんどん若返っていく老女と、閑職に追いやられた中年男性の刹那的な恋愛小説。若返った老女は生き急ぐようにこれまでの時間を急速に遡り、「時間がない」と焦燥感に追い立てられながら、やがて子供になり、巻き戻しの時間を使い切る。

エロティックな要素が強い物語だが、全編通して言いようのない儚さと哀しさが漂う。少女或いは幼女の年まで若返ってしまった女を相手に、それでも肉体関係に溺れる主人公には些か鼻白むが、愛する女が過ごしてきた時間をひとつも残さず、彼もまた遡っていたのかと思えばそれも哀しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 【書籍】著者◆や行
感想投稿日 : 2011年3月10日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年3月9日

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