気になっていながらもなかなか読む機会がなかった、吉村昭作品に初挑戦。いわゆるエンタメノンフってやつで、扱われている題材も海の男。ジョンマンとか巨鯨の海とかでちょくちょく目にしていることもあって、とっつきやすさも問題なし。無人島に生きるさまをひたすら描いた長編で、あまり変化のない日々が続く中盤あたり、ちょっと”大丈夫か!?”って気もしたけど、死と生の狭間に生きる極限状態を絡めたりで、緊迫感を途切れさせないのがすごい。五木親鸞とか、内田浄土真宗とかいった作品を、同時並行的に読んでたから、主人公が念仏に帰依するさまも、なるほどって感じですんなり受け入れられたりもして。自ら船を作って帰国するという執念のクライマックスに至るまで、驚嘆させられっぱなしの読書体験でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2016年6月7日
- 読了日 : 2016年6月5日
- 本棚登録日 : 2016年6月7日
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