パリわずらい江戸わずらい

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093883603

作品紹介・あらすじ

旅と食と感動が満載浅田次郎最新エッセイ集

JAL機内誌『スカイワード』人気連載単行本化の第3弾。海外、国内で遭遇した抱腹絶倒の出来事から、身辺に起こる驚きと感動のエピソードを絶妙の筆致で描く傑作エッセイ集。
温泉での珍事を描いた『話にもなりませんわ』、軽井沢の別荘に出現した謎の生物とは『招かれざる客』、ナポリでナポリタンを追い求める『多様性と二者択一』、ラスベガスでマイケル・ジャクソンとまさかの邂逅『袖振り合うも多生の縁』ほか極上の全40篇。

感想・レビュー・書評

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  • さらさらーっと読める。亡くなった姑が浅田次郎のファンで、何冊も本棚に並んでいる。その中でも、気楽に読めそうなのがこれだった。

  • あちこち旅したいろんな思い、若いキァリア編集者に気遣い、日本人に軽蔑の目で見られ、嘆きながら朝食に行くくだりは笑ってしまった。
    ペンクラブの会長として、平和について述べたり、昨日だったか大江健三郎氏が亡くなられたので、作家の活動について考えさせられた。
    瀬戸内寂聴さんだって、高齢でハンガーストライキを命かけてやっていたよな。

  • 軽く読めるユーモアある話の中に、歴史や文化に触れる話題が盛り込まれていて面白かった。

  • 文芸に国境は無い。全ての芸術作品は人類の相続財産である。われわれは文化を通じて、ひとつの世界に生きる一つの人類だと言う理想を守らなければならない
    1つの文字に1つの世界を包懐する漢字こそ、人類最大の発明品だと私は頑なに信じている
    思想や哲学や信仰がなくとも、苦悩と誠実に向き合えば文学は立派に成立することを、この全集は証明したと思う

  • 機内誌連載のエッセイをまとめたものであるから当然だが、旅の記述が多い。だからこういう文章を読むと海外に出たくなる。文化の差を知ることは、己の立ち位置を知ること。教養は旅によっても涵養される。但しカルチャーショックを受けてこそ。

  •  われわれは等しく、ふるさとに生まれ祖国を築き上げた先人たちに対する敬意を、忘れているのではあるまいか。紙幣の肖像はただ偉人を顕彰するためのものではなく、彼らの努力の結果としてわれわれが生きる糧を購えるのだと、常に自覚するために描かれているのである
     さて、読者のご当地の二千円札には、誰がふさわしいであろう。(p.100)

     私たちは生活習慣として、うしろ向きに履物を脱ぎ、リアから注射する。今さら物を考えず、いわばおざなりにそうしているのであるが、外国人の目には比例と映り、あるいは非合理的な一律性に見えるのである。
     よくよく考えてみれば、こうした例は枚挙にいとまないのかもしれぬ。(p.186)

     ラーメンだけではきっと「替え玉」を要求してしまうであろうというたしかな懸念から、「ラーメン餃子セット」を注文した。まあ、どっちもどっちであろうけれど、根拠なき良心がそう命じたのであった。
     ところが、アッという間に運ばれてきた盆に、私は瞠目した。ラーメンと餃子のほかに、白いご飯まで付いていたのである。「でんぷん+でんぷん」どころか、「でんぷんの三乗」という壮挙であった。
     良心に従って提示された運命に抗うほど、私はへそまがりではない。禁忌のでんぷんをあますことなく平らげながら、米と麦を食い続けてきた日本人であることを、今さら自覚した。肉や野菜をいくら腹いっぱい食おうと、この充実感は決して得られぬのである。(pp.232-233)

  • 気軽に読めて、ためになる。

    江戸時代の脚気の話、日本人の駐車の仕方が海外では…という話がおもしろかったです。

    温泉での小競り合い、ホテルのクロークでの勘違いなど、もし自分がそこにいたら、案外めんどくさいおじさんなんだろうなとも思いましたが、
    正直に書かれているのでおもしろい。

    東日本大震災の時の事も、普段の自分の習性や価値観と世の中のズレを感じたような事を書かれていて、本当に正直な方だと思いました。

  • JALの機内誌『SKYWARD』で連載中の浅田次郎氏のエッセイの書籍化。『つばさよつばさ』、『アイム・ファイン』に続く第3段。

    久しぶりに浅田さんのエッセイを読みました。
    歳を重ねて、書かれる内容には深みも増して・・・、なんて書くとお仕着せのレビューになってしまうので、やめときましょう。

    イケイケドンドンのころのエッセイ(『勇気凛々』シリーズ)とかと比べると、正直キレはなくなっていて、衝撃を受けるようなエッセイはなかったです。
    でも、やっぱり面白い。
    共感できることも多々ありました。

    なにより、浅田さんの「弱気」や失敗談が昔より多い気がして(自分が人生の経験をしてきたから、印象に残っただけかもしれませんが)、やっぱり浅田さんも人間だなあ、と少し身近にも感じた作品でした。

    いい心の清涼剤になりました。

  • 私は、九州だからか、ちくわぶが、分からん。おまわりさん何処も良い。一路を読んだ後なのでこの人が作者かと。

  • いつもの機内誌の取りまとめエッセイ。
    短いながら凝縮された楽しいエッセイ集でした。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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