「道徳」を疑え! 自分の頭で考えるための哲学講義 (NHK出版新書)

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884218

作品紹介・あらすじ

多発するいじめや虐待、マナー違反…。「道徳」の機能不全が叫ばれ、学校での教科化が議論されている。日本人のモラルは高いはずではなかったのか!?人気哲学者が、ソクラテスから始まる西洋哲学の大きな流れを踏まえてイチから考え直す。政治・公共哲学、応用倫理学なども駆使しながら、多様な価値観がせめぎあう現代社会の諸問題に対して、思考停止せず向き合うための術を説く一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 文科省が全国の小・中学校に配布している道徳の補助教材「心のノート」の問題点。一見、名前からして癒し系の印象を与えるが、その中身はかつてないほどの国家教育の完全マニュアル。国家教育の恐ろしさは国益を優先させ、それを支える無批判的大衆を形成し、戦争ができる国家に必要な「愛国心」を国民に植え付ける心の国家教育。国民主権でなく国家による国民の統治へ。民主主義的精神、批判的知性を忘れさせるプログラムである。

  • 道徳が教科になって、どうやって評価するの?とは何となく思っていた。関東で育った自分が子どもの頃の道徳の時間って、教室で「おおきくなるこ」とかいう、「中学生日記」の小学生版みたいな(たぶん、ちがったかしら)テレビ番組を観て、あと何をしてたのか…全然記憶にない。そんな程度だったから。
    この本の中では、倫理学者の河野哲也氏が和辻哲郎氏の言葉引いて「道徳教育の意味を、善き社会を構築する権利と義務を持つ主権者を育成する教育と再定義」されたことを受けて、著者は「公共性を学ぶ教育」だとしている。そのために、哲学的な思考方法を取り入れよう、と。なるほどシチズンシップ教育。
    どう評価するか、うんぬんではなくて、教科としてやるならちゃんとした内容にしなくちゃいかん、ということがよく分った。哲学史のまとめもすっきり分かりやすい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「なるほどシチズンシップ教育。」
      道徳→胡散臭い。と条件反射的に思ってしまうのですが、これなら納得です。
      小学生の時から、身に付け始めて...
      「なるほどシチズンシップ教育。」
      道徳→胡散臭い。と条件反射的に思ってしまうのですが、これなら納得です。
      小学生の時から、身に付け始めて欲しいですね。
      2014/04/08
  • なにごとも、考えずに鵜呑みにするのは良くない。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】

  • 100||Og

  • 今の道徳の授業では、なぜ○○をしてはいけないのか?という点は学べない。マニュアルを暗記しても無意味だ。小川さんの哲学の話は幅が広くて面白い。201412

  • 自分で、考えます。

  • 「道徳」(本書では、道徳の時間には「」をつけて呼んでいる)は価値の押しつけだ。でも道徳は、自分と社会を扱う「公共性」を扱うものだ。このように考えると、道徳はシティズンシップの一環として扱われるものだ。つまり、共同体の成員として主体性を発揮できるように、もっと子どもの主体性を養うことが必要なのではないだろうか。では、なぜ主体性を養わなければならないのか。それは、世名の中をよくするためだ(p.29)。それは本来政治教育と呼ばれている。そのような教育は社会科では難しい。そこで、代替案として「哲学」を提案する。

    という問題提起のもとに論が進む。哲学の大切さを言及している。「本来~だから○○しよう」という論の進め方だと、反例が多く出せるのだが…。それについて答えられるのだろうか??

    もちろん哲学の大切さは否定しない。ではなぜ「政治教育」ではなく、「道徳教育」と呼ぶのか。そもそも、政治教育と道徳教育は同義なのか??
    教育の専門家でない人はすぐに、「哲学科」をつくろうなどと提案する。でも枠組みだけ提案して中身についてはあまり触れない…。この本を読むのであれば、河野哲也『道徳を問いなおす』を読んだ方がいい。
    2章から6章では「哲学する」より、哲学者の知識を学ぶ側面が強いように感じた。

    (まっちー)

  • 道徳の授業を教え込むものではなく、自分で考えられるようなものに。
    哲学を用いて自分で正しさを考えていけるようにしようっていう本。
    著者の本をしばしば読むけど、どれももう一歩踏み込んでほしい内容なんですよねぇ。概論的な説明にとどまっているような。

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著者プロフィール

1970年、京都府生まれ。哲学者・山口大学国際総合科学部教授。
京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。商社マン(伊藤忠商事)、フリーター、公務員(名古屋市役所)を経た異色の経歴。徳山工業高等専門学校准教授、米プリンストン大学客員研究員等を経て現職。
全国各地で「哲学カフェ」を開催するなど、市民のための哲学を実践している。また、テレビをはじめ各種メディアにて哲学の普及にも努めている。NHK・Eテレ「世界の哲学者に人生相談」、「ロッチと子羊」では指南役を務めた。最近はビジネス向けの哲学研修も多く手がけている。専門は公共哲学。
著書も多く、ベストセラーとなった『7日間で突然頭がよくなる本』や『ジブリアニメで哲学する』、『不条理を乗り越える』、『前向きに、あきらめる』等をはじめ、これまでに100冊以上を出版している。YouTube「小川仁志の哲学チャンネル」でも発信中。

「2024年 『60歳からの哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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