横溝正史ミステリ大賞受賞作ということだけど、
細かい粗が少し目立ってなかなか物語に集中できず苦労した。
世界恐慌の末に首都直下型地震で街は荒廃し、治安は劇的に悪化、
国土復興協力隊なる擬似武装軍隊が警戒活動をするという
首都東京を荒れ果てたディストピアとして
舞台設定しているはずなのに、
派手な宝石品を身につけた太いオバさんが
高級スーパーに洋服を着せた犬のペットをつれてきて、
子供に犬の洋服を脱がされたことに怒って
警察呼ぶわよと叫ぶという平時の苦笑すべき光景で始まっていて、
荒廃したイメージなのか、今とそんなに変わらない状況なのか、
ここで描かれている東京をどうイメージしていいのか戸惑う。
やたら「壊滅」という単語が出てくるのに、
普通の生活の様子もあって
最後までどういう世界を想像していいかわからなかった。
テーマが盛り込みすぎて、焦点がぼけていた感じも残念。
地震の危険性と震災後の東京、子供を亡くした父親の苦悩、
在日外国人・無国籍児などの国籍問題、
大規模開発を巡る疑獄事件、アナーキズムと理想郷国家建設、
動物関連・・・。
やたらといろんな要素があって、ごった煮の状況で
変なお腹いっぱい感になってしまっていた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー・ホラー
- 感想投稿日 : 2012年11月27日
- 読了日 : 2012年12月1日
- 本棚登録日 : 2012年11月15日
みんなの感想をみる