鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)

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  • 集英社 (2000年3月17日発売)
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浅田次郎『鉄道員(ぽっぽや)』(集英社文庫、2000年3月読了)

「何を今さら」といわれそうだが、浅田次郎を読んでみた。
今さら読んだのにはワケがある。

ずいぶん前に、機内で映画『鉄道員』を観た。北海道の幌舞駅長、乙松は廃線が決まっているこの終着駅で、奇妙な出来事に遭遇する。幼くして亡くした娘のような少女が入れ替わり立ち替わり現れる。主演は高倉健。
不覚にもシートで涙を流してしまった。
しかし、これで読んだ気になり、原作に手が届かなかった。

先日、偶然にも韓国映画『パイラン』のDVDを入手した。チンピラとして毎日を刹那的に過ごす40歳を過ぎた独身男。この男のもとに「妻」が亡くなったので亡骸を引き取りに来るように連絡が入る。その妻は、中国から出稼ぎに韓国に来た白蘭(パイラン)で、かつて金欲しさに偽装結婚した女性だった。
主演はチェ・ミンシク。パイラン役はセシリア・チャン。『どこかで見た顔だなあ』と思っていたら、チェ・ミンシクは『シュリ』に出ていた。
この映画、原作は浅田次郎の「ラブ・レター」で『鉄道員』に収録されているという。俄然、原作を読んでみたくなったワケである。

本書には、奇妙な出来事に遭遇する人びとを描いた8編が収録されている。表題作が1本目、「ラブ・レター」が2本目である。
8本とも琴線に触れる内容だった。
「ラブ・レター」の舞台は日本だが、基本のストーリーは同じ。別物として読んだのだが、映画のイメージが強すぎて、原作に物足りなさを感じてしまったほど。

いずれも面白かったが、個人的には、「オリヲン座からの招待状」が良かった。この作品も映画化されている。

どの作品も設定が素晴らしい。ありそうな設定だが、ちょっと考えるとあり得ない設定ばかり。それでも読み進むと主人公たちに感情移入してしまう。

うまいよなあ、浅田次郎。

読書状況:未設定 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年7月23日
本棚登録日 : 2017年7月23日

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