愚者のエンドロール (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2002年7月31日発売)
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感想 : 1112
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氷菓よりずっと面白かった。謎解きが複雑すぎないのが好き。
この感じなら推理小説に向かない私のおつむでも参加できる。
先読みできちゃったりするところがあると嬉しくなるし。
実は話の起こりの時点で「何故本郷さん本人に訊かない?」と不思議だったり読後に「江波さんの存在意義がよくわからないんだけど副題になるほど重要な立場だったの?」と疑問を持ったりしたけど、私の読み方が甘いのかもしれないし途中が面白かったからまあいいや。(笑)
主人公の煩悶等繊細な面が描かれてるのが好いです。
彼と里志の会話はちょっとした冗談のやり取りでももっと重みのあるときでもどこかお洒落で、語彙のある人同士のユーモアを交えた会話ってたまんないなと思う。
私がこの作品でいちばん好きなのってこれかも。何気ない知的な会話。
あと今回出てきた入須先輩がすごくいいキャラしてて特にラストにグッときました。
彼女の性格的特徴は図らずも先日読んだビブリアの栞子さんと近しいものがあるのだけど、自分のその要素を拒絶して注意深く生きてる栞子さんと違って、入須先輩はそんな自分を良しとして完全に受け入れてる人っぽい。
友達になりたいかと問われれば微妙でも、「貫徹してる人」の魅力って抗い難いものがあるなと感じます。
確固とした美意識(自信)のある人は美しい。
もちろん栞子さんの人としてこのラインからは外れたくないって気持ちも大切なものだと思うけれど、そこに現れる個性が、いずれにしても興味深いのよね。
あと関係ないけど裏表紙の文章、「続きが気になる千反田は仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した!」。
なんで主人公が「仲間」で、本編では他の部員と変わらない活躍をしている千反田さんが主役みたいになってるんだ…?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 現代小説
感想投稿日 : 2013年4月29日
読了日 : 2012年9月7日
本棚登録日 : 2013年4月18日

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