容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)

著者 :
  • 文藝春秋 (2008年8月5日発売)
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感想 : 3837
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説定としては、さほど珍しいモノでは無いものの、特によかったというか面白かったというところが二つある。

一つは石神の靖子に対するひとえの愛情であり、読みながらも大したモンだと思ったものである。
だがこれが、数学者でどこまでも物事を論理的に思考する石神だからこそなのだと思うし、それを人間臭いかどうかまでは分からないけれども、湯川よりも面白いと言えるのかもしれない。「個人的にはであるが」

しかし湯川が一切事件に関わらないで、草薙達、警察だけであったら容易に迷宮入りになっていたであろうが、その時は眠りの小五郎に任せるほかなかっただろうな(笑)

それだけに計画の周到さや、言葉巧みに警察の捜査を誤った方向に意図的に誘導するところなどがスゴイだけに、もう少し完全犯罪まで成しえたであろう。

ただ盲点だったのが湯川という存在と、同じ大学の同期であり、石神のちょっとした言動や仕草からカンずいちゃうところである。

二つ目は事件の一連の謎が解けた湯川が、石神本人にしか
分からないように言うセリフがある。

「この世に無駄な歯車なんかないし、その使い道を決めれるのは歯車自身だけだ」というものだが中々イカスこと言うじゃないかと思ったものである。

だがいずれどちらに転んだにせよ、元夫を殺した靖子に罪悪感は死ぬまで消えないであろうことで、現に最後の方で娘の美里が自殺未遂をやらかすところからでもそう言えるだろう。

とりあえず小説版は読んだことだし、機会があったら映画の見てみようと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年11月6日
読了日 : 2017年11月6日
本棚登録日 : 2017年11月6日

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