新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2004年4月15日発売)
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本棚登録 : 2926
感想 : 207
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 この上巻では、氷沼家の次男・紅司と叔父の橙二郎が密室で死亡します。
 その真相について、奈々村久生・光田亜利夫・氷沼藍司・藤木田誠の4人が推理合戦を展開。
 ミステリ・ファンとしては楽しい展開ですが、実際に被害者になった人やその関係者からすると、とんでもないことでしょうね。
 しかしこの4人の四通りの推理、どれももっともらしい。
 同じ事件でもこんな風に色々と解釈できるのかと興味深い。
(ネット上では、馬鹿げた推理と書いてるミステリ上級者もいます。私は初心者なので、何を読んでもすごいと思うレベルです。)
    
 それで、ミステリマニアの藤木田翁の退場と入れ替わりに登場したのが、奈々村久生の婚約者・牟礼田俊夫。
 世界を駆け回る敏腕記者ということですが、あまりイメージ湧きません。
 この牟礼田俊夫が残る3人の探偵役を集めて、いよいよ真相が判明か……と思ったら、意外な展開に。
 牟礼田俊夫氏は思わせぶりなことを言いながら、結局は何事も言っていないのです。
 他の人の推理を上から目線でダメ出しして、全員間違っていたとは判明するのですが、では真相はといえば、何も明らかにされていない。
 聖母の園事件で焼死体が一つ多かった件についても、氷沼家と縁故のあるお年寄りでもう一人犠牲者がいて、誰か考えれば分かるはずだと言いながら明かさないし。
 思わせぶり・知ったかぶりはいいけど、ではあなたの推理はどうなんですか、真相はどうなんですか。
 テープに録音しておいたからもう一度聴いたら分かるとか言ってますが、そうなんでしょうか。
 これでは全然納得いきません。
 実は物語は前半が終わったところ。
 後半に続きます。
   http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20161015/p1

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 900 文学
感想投稿日 : 2016年10月16日
読了日 : 2016年10月16日
本棚登録日 : 2016年10月16日

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