西尾維新の描く“人格のズレたキャラ”というのは今ではすっかり流行になっていて,特に異能モノの小説ではある種メソッド化にまで達している.この作品でも,究極的に自分の感情を第三者的にしか捉えられない13歳が主人公だけど,そういった“狂っている”というより“ズレている”と形容するのが合っているような設定は,最近のラノベにおいてよく見かける.
そうしたズレた人格設定は作品の世界観を彩る上で読者を楽しませるためのある種ギミックのような役割でしかなかった.しかし,この作品では見事なまでにそのズレた人格設定そのものを,世界観を構成する歯車の1つにまで昇華している.ズレた主人公を西尾維新氏以上に使いこなせる作家はいない,そう主張しているようにも感じた.
まぁ主人公のそういうひねくれた人格を作品の世界全体に落とし切っているので,内容は非常に悪趣味極まりない.続きはあるのだろうか.
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
LITERARY
- 感想投稿日 : 2012年5月14日
- 読了日 : 2012年5月13日
- 本棚登録日 : 2012年5月12日
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