みちのく忠臣蔵 (文春文庫 か 54-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (2016年5月10日発売)
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感想 : 6
5

本作は、“騒動”の当事者以外を創作して主要視点人物に据えてみたことで、何か「現代の色々な出来事と、当事者以外の圧倒的多数の人々が考える、または考えるべきこと」というような“拡がり”を得ているのかもしれない。
全般的な内容も、何か考えさせられるのだが、本作に関しては「活写される1810年代」というモノが興味深く、愉しい。旗本は随意に旅行が出来るでもない立場であったことから、旅への憧れを募らせている光一郎は、その時代に出回り始めている“地誌”的な書物の愛読者である設定で、蝦夷地を巡る情勢に関して綴られたモノにも触れる場面が出て来る。そういうのも面白い。更に言ってしまえば、「鳥取の松平家が蝦夷地との商売に挟まって収益を上げようとしていたところ…」という、1810年代辺りにはそれなりに拡がり、深まっていた“交易”が物語の背景に入っているのが興味深かった…

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫(国内)
感想投稿日 : 2016年6月5日
読了日 : 2016年6月5日
本棚登録日 : 2016年6月5日

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