日本語ウォッチング (岩波新書 新赤版 540)

著者 :
  • 岩波書店 (1998年1月20日発売)
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本棚登録 : 226
感想 : 15
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 方言学の権威・井上先生による、自身の専門を、一般に向けて解説した書籍。必ずしも専門用語を用いずに、不足なく説明しちゃうその記述にはもう脱帽。この一冊を読むだけで、言語研究等に一切関わりを持っていない人でも社会言語学がどのような研究を行なっていて、どのような考察を重ねているかを理解できるのではないでしょうか?
 僕は、学部生時代に社会言語学の講義を受け、その気力・体力・根気その他、ありとあらゆるフィジカル要素・メンタル要素を必要とすることに愕然とし、むしろ敬遠するようになってしまったのですが、やっぱりこうしてその研究成果を見てみると、面白いなーと思う。

 それにしても、この「あせない」感は何でしょう? 例えば以前、僕は野代仁子さんの書いた、約10年前の書籍『非行を叱る』のレビューをした際に、「10年の歳月は大きかった」という感想を残しています。本書も10年以上前の書籍。しかし、それを感じさせない。もちろん、全くそうかと言われれば、それは違うと思いますが。どうしたって、流行語や発展途上の語句を考察の対象にしている以上、2011年現在では事情が異なっているものも多くあるもんね。でも、今なお、読んで損はしないだろうと思える本です!


【目次】
はじめに
Ⅰ ラ抜きことばの背景
Ⅱ 「じゃん」の来た道
Ⅲ 簡略化の動き
Ⅳ 東京ことばの底流
Ⅴ 新しい方言の広がり
Ⅵ 敬語の最前線
Ⅶ 気になる? 口調
Ⅷ ことばの変化のとらえ方
引用文献
おわりに

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 語学
感想投稿日 : 2011年12月18日
読了日 : 2011年12月18日
本棚登録日 : 2011年12月18日

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