世界の中国人ジョーク集 (中公新書ラクレ 284)

著者 :
  • 中央公論新社 (2008年7月1日発売)
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感想 : 10
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 おそらく人間は、ぶっ飛んだ話をにわかに信じることはできない。たとえば、友人に「年末ジャンボで3億円当たっちゃった☆」と言われても、「またまた~」と返すだろうし、予言者が「明日、地球は崩壊する」なんて宣ったところで、鼻で笑ってしまう。本書の内容もまた、「ぶっ飛んだ話」なのだ。

 ミッキーマウスやドラえもん、キティちゃんなどの偽物が話題となった中国の遊園地。はたまた、中国に乱立する欠陥工事の産物たち。そして、不透明な政治機構。日本の隣国でありながら、中国には理解しがたい部分が多くあり、それらをして中国は「非常識」と形容されることがままある。
 本書は中国を題材としたエスニックジョークを媒介として、中国の理解を深め、あるいは中国人の本音を探ることを目的として持っている。しかし、本書を読んでわかったのは、やはり中国は「非常識」であったということと中国の仕組みは結局「ぶっ飛んだ話」だったということだけだった。あまりに理解ができないので、話半分に読んでおこうかなと思いつつも、どこまでを信じ、どこからを信じないのか疑心暗鬼に陥ってしまった!

 それはともかくとして、日本に関する記述にも突然に「えっ!」と思わされることがあった。たとえば本書によれば、日本のテレビ局が新宿を取材する際、そこを管轄とする暴力団に謝礼を払うことがあるらしい。やっぱり、にわかには信じがたい。その真偽は別にして、なんかそんな記述が本書の価値を下げてしまうようで残念だ。


【目次】
はじめに
壱之章 ワンダーランド中国の最新事情
弐之章 中国式自由の五輪的発展
参之章 中国共産党国家的生態学一覧
四之章 バブル景気に湧く金治国家像
五之章 中華五千年の笑うに笑えないお話
あとがき
主な参考文献・参考サイト

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会科学
感想投稿日 : 2012年2月4日
読了日 : 2012年2月4日
本棚登録日 : 2012年2月4日

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