dolce far niente...(dolce)
アイデアを形にして伝える技術 (講談社現代新書)
原尻 淳一
講談社
(2011年04月15日)
読み終わった
わたしの仕事はクリエイティブな仕事ではないが、情報の整理や事務改善案考案や思考の拡充に繋がる刺激的な内容が詰まっていた。著者は本好きな人なんだなあ。HOWTO本的ではあるが、著者は実学というより学術的な世界の人々をメンターにしているからか、平易ながら論...
閉じこもるインターネット――グーグル・パーソナライズ・民主主義
イーライ・パリサー
Eli Pariser
早川書房
(2012年02月23日)
フィクション お気に入り
読み終わった
大変面白い本で、今後のインターネットと人間の関係に益々関心が深まったが、そもそもこの本を、アマゾンのおすすめ商品で見つけて買っている点がなんとも皮肉である。
グーグルやフェイスブックが急速に進めているクリック信号の追跡や解析、アルゴリズムによって...
バレエとダンスの歴史―欧米劇場舞踊史
鈴木 晶
平凡社
(2012年03月16日)
専門書系
いま読んでる
バロックダンスを習ってる先生が著者の一人の、欧米劇場舞踏史の専門書。とりあえずバロック~バレエまでを読んでいる。ダンスの変遷とその社会的な背景が分かるとより楽しい!バロックは音楽と歌とダンスがより緊密な関係。
フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
小林章
美術出版社
(2011年01月17日)
読み終わった
伊勢ちゃんにお借りした本。詳しいフォントの知識は一読した位では身につかないが、最近街の中の色んな看板やブランドのロゴが目に入ると、そのお店のコンセプトやお客さんに与えたい印象とかを妄想してしまう。新たなひそかな楽しみが増えた。
密やかな結晶 (講談社文庫)
小川 洋子
井坂 洋子
講談社
(1999年08月10日)
フィクション
読み終わった
終盤の加速的な消滅の進行から一気に読みきった。主人公の小説の中の病的な官能の世界と消滅の進む現実世界が重なるようでもあり、逆に対比の中で現実世界には希望を見出せるようでもあり、読了後色々考えさせられる。私自身が短い人生の中で失ってきたものとひとに...
メタファ-思考 (講談社現代新書)
瀬戸 賢一
講談社
(1995年04月17日)
新書
読み終わった
メタファーは、文学だけでなく、人間のちょっとした思考や生活においても切り離せず、物事の認識を助け、イメージを豊かに広げてくれることが分かる。また、時間をお金に見立てるような、特定のメタファーの浸透が、広く社会の価値観を固定化し、認識の自由を奪う危...
2022―これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書)
神田 昌典
PHP研究所
(2012年01月19日)
新書
読み終わった
Wrong About Japan
Peter Carey
Faber and Faber
(2005年09月01日)
洋書 ノンフィクション
読み終わった
オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)
米原 万里
集英社
(2005年10月20日)
フィクション お気に入り
読み終わった
当時のソ連の情勢や収容所での女たちの生活の過酷さは読んでいてかなり辛い。しかし、それでも読み進めたい衝動に駆られるのは、米原万里の簡潔で充実した筆力による。
また、主人公が感じた日本の均質的で閉鎖的な社会についての気持ちの吐露は、思わず頷く。
そし...
The Giver (Readers Circle (Laurel-Leaf))
Lois Lowry
Laurel Leaf
(2002年09月10日)
洋書 フィクション
読み終わった
It is a story about a severely controled world where people have been given families and jobs and they don't have feelings such as fury, sad and love. It is a perfectly safe world but many babies and old people are "released"(killed)to maintain th...
やさしい訴え (文春文庫)
小川 洋子
文藝春秋
(2004年10月)
フィクション
読み終わった
あまりたくさん読んではいないが小川さんにしては珍しく主人公が情熱的。ラモーの小品であるタイトルとチェンバロ製作家の話ということに弾かれて読んだ。
主人公が音楽の世界に生きていないから二人の間に入れないことだけが、叶わない恋の理由とは言い切れないだ...
猫を抱いて象と泳ぐ
小川 洋子
文藝春秋
(2009年01月09日)
フィクション
読み終わった
映画か詩のような物語。チェスの静謐さと裏にある情熱、対戦相手と物語を作っていく過程はアンサンブル、とくにバロック音楽に似ているように感じた。
Nocturnes
Kazuo Ishiguro
Faber and Faber Ltd.
(2010年01月)
フィクション
読み終わった
Cellistの「潜在的な力を壊したくないからそれを最大限に引き出す能力のない教師を拒否し演奏することも拒む」というのは、自分が言い訳として利用している意識を指摘されたように思った。この先生にとっては本心であり真実なのだろうが。
パンツの面目ふんどしの沽券 (ちくま文庫)
米原 万里
筑摩書房
(2008年04月09日)
読み終わった
目の付け所がやはり違う。この題材を不真面目かつ大真面目に資料調査して面白おかしく書き上げる才能に脱帽。
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
米原 万里
角川書店
(2004年06月)
ノンフィクション その他
読み終わった
悲しみよこんにちは (新潮文庫)
フランソワーズ サガン
Francoise Sagan
新潮社
(2008年12月20日)
フィクション お気に入り
表現がなんと繊細で精緻なことか!登場人物の生き方や価値観に共感できなくとも、個々の描き方が巧みである種非常に客観的であると、こころに響くという感覚は、スタンダールの『赤と黒』と同様。心理描写が丁寧でかつ表現が理知と情緒の両者に富む人には本当に圧倒...
1Q84 BOOK 1
村上 春樹
新潮社
(2009年05月29日)
フィクション
ここ最近の村上春樹のテーマは一貫しているようだ。非常に政治的でありながら、一方で精神分析学的。両者は互いに交わらないところがミソ。主人公は政治性とは無縁なのに、周囲の人間や世界は政治に飲まれている。しかし主人公自身の精神的葛藤が、政治の混乱とパラ...
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
森見 登美彦
角川グループパブリッシング
(2008年12月25日)
フィクション
教養的なものがポップに描かれているのは面白いしリズム感良く読み進めていけるが、深く心に浸透してくるようなものはあまりなかった。しかし、形式・表現的な部分の細部のこだわりは強く感じるし、非常に視覚的である点で優れた作品なのだろう。私が、純文学的な奥...
風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)
森 絵都
文藝春秋
(2009年04月10日)
フィクション
収録されている短編それぞれに作者の違った一面が表れていておもしろい。これだけ一編一編に、違った色を出せるのはすごい。
主人公にこころから移入できるようなものはなかったが、表題作の主人公が女性としての葛藤に知らず知らずのうちにさいなまれていく姿に...
家守綺譚 (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
(2006年09月)
フィクション
孤独というものの感覚が現代とは違う気がする。孤独が崇高なのは、時代の変化から目を背けた友人も、時代の変化からはともかく逃げはしなかった主人公も、自分の生きる芯のようなものがあるからか、自然や土地への信頼を感じる。
かっぱや人魚というふしぎなもの...
欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)
苅谷 剛彦
講談社
(2006年11月17日)
新書
フィンランドの教育への注目度が高まる中で、では実際にどこがどう優れているかということや、また日本と比較したときにどこに差があるかは、単に教育の側面だけをその社会や文化という全体的な文脈から切り取って論じるのでは無理があるし危険であり、不十分である...
ことばが招く国際摩擦
鳥飼 玖美子
ジャパンタイムズ
(1998年07月)
ノンフィクション その他
通訳者の作者が、通訳において発生しうることばの問題、また通訳を利用しての国際的な戦略など、ことばにまつわる国際的な問題を、過去の歴史の中から現代に至るまで、多様な例を挙げながら研究し、通訳の重要性を訴える。
変身 (新潮文庫)
フランツ カフカ
Franz Kafka
新潮社
(1952年07月30日)
フィクション
家族の生活のために一身を捧げて働いてきて、家族にも過剰なまでに頼られていたはずの主人公は、巨大な虫になってから、その立場を失い、逃れられない父親の権力に飲まれ、家族はその微妙なバランスを崩していく。しかし、彼の悲劇的な結末は、彼の消滅とともに家族...
キャッチャー・イン・ザ・ライ
J.D.サリンジャー
村上 春樹
白水社
(2003年04月11日)
フィクション お気に入り
主人公が抱く、厭世的な感覚や、周りの人間の本性の悪質さ、低俗さを感じ取って自らの心が混乱し苛立ち怠惰になってしまうという敏感さには、少なからず共感できる部分があった。頭がいいだけに、状況を論理的に読み取っているようで、しかし彼の自分本位な感情的論...
ティファニーで朝食を
トルーマン・カポーティ
村上春樹
新潮社
(2008年02月29日)
フィクション
原著で一度読もうとして、途中で語彙と表現の難しさに断念したが、村上春樹の訳ということで惹かれた。確かに訳を読んで、その表現が、日常的に筋道が必ずしも通らないようなことをホリーや「無邪気」な登場人物たちが口にするものであるため、原著で読むには難解な...
出版社と書店はいかにして消えていくか―近代出版流通システムの終焉
小田 光雄
論創社
(2008年03月)
専門書系
経済の話は難しく、しっかりと理解したとはいい難い。出版の流通システムにおける下部構造に含まれている書店は、その郊外への進出や出店数の急増、また、本の出版数の増大などの影響の中で、変化していっているのに、上部構造としての、再販制度といったシステムは...
ビゴーが見た日本人 (講談社学術文庫 (1499))
清水 勲
講談社
(2001年09月10日)
ノンフィクション その他
リアルな描写で描かれた日本人が醜悪な風貌のため、ショックを受けた。前歯が飛び出ていたり、背が低いのは、栄養が足りなかったためだということがわかったのが個人的に印象に残った。ビゴーが日本人の欧化政策を皮肉り、その近代化が進んでいないことを強調してい...
はじめての構造主義 (講談社現代新書)
橋爪 大三郎
講談社
(1988年05月18日)
新書
学生にもわかりやすいよう、丁寧に構造主義を説明しているが、数学の話になると、私にはよく理解が出来なかった。また、口語的な書き方が古かったり、読みにくい部分も少なくなかった。機能主義が「〜だから」というbecauseの説明体系であるがゆえに、循環論に陥った...
檸檬 (新潮文庫)
梶井 基次郎
新潮社
(2003年10月)
フィクション
病的な感性の鋭さ。
赤と黒 (上) (光文社古典新訳文庫 Aス 1-1)
スタンダール
野崎 歓
光文社
(2007年09月06日)
フィクション
1830年の七月革命の勃発を予感させる時代。その時代背景としての身分・階級や党派の確執や思想を色濃く受けるなかで、人間関係と恋愛の策略とスリルを克明に描いた小説。
私は、小説を、いかに共感できるか、という視点で読み、評価することが多いが、この作品はそ...
グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)
スコット フィッツジェラルド
Francis Scott Fitzgerald
中央公論新社
(2006年11月)
フィクション
野心と自らの描く夢を手にするために純粋なまでの情熱を持って進むギャツビーの辿った末路を、全てをありのまま受け入れながらも斜に構えて生きる主人公ニックの目から描く。アメリカ西部出身者が持つ東部への憧れと、東部で実感する刺激、むなしさや落胆、といった...
こころ 他 (旺文社文庫 2-4)
夏目 漱石
旺文社
(1966年01月)
フィクション
三部に分かれており、二部から三部へと語り手の「わたし」が「わたし」本人から先生へと変るに際して、その語りの内容から、その心の性質の相違性、共通性との双方がよくわかる。三部では、とくに人間のこころのなかの、どうしようもない利己性と倫理感の共存とジレ...
頼むから静かにしてくれ〈1〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)
レイモンド カーヴァー
Raymond Carver
中央公論新社
(2006年01月)
フィクション
日常が変質していく。いや、変っていこうとしているのは世界ではなく、自分のほうなのか。日常から足を踏み外しかけた登場人物たち。正常とも異常とも言いがたい世界が、淡々と静かに、そして微かな狂気を予感させながら語られていく。
難しい。核心をつかないから...
ことばと文化 (岩波新書)
鈴木 孝夫
岩波書店
(1973年05月21日)
新書
ことばは文化の構造によって影響を強く受けている。そのことを身近な例から考えていく、文化人類学的な言語社会学の入門書。普段何気なく使っていることばに、影響を与え、また時に反対に影響を受けている自分の文化、思考を捉え直すきっかけになる。人称代名詞の考...
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社
(1997年09月)
フィクション
ねじまき鳥は今日も世界のねじを巻く。その音を聞く者を待ち受ける運命は、生への苦悩か、死への帰結か。
夢と現実と、自己と他者と、暴力と防衛の狭間で、僕が巻き込まれた運命の鎖は、複雑に絡み合い、そして時空を越えて一本につながっていく。
一個の人間と...
思考の整理学 (ちくま文庫)
外山 滋比古
筑摩書房
(1986年04月24日)
エッセイ
創造的な「生」を全うしたい全ての人々に送る一冊。人間にしか出来ない「思考」とは何か。
要所要所の例え方がシンプルで上手いし、よくまとまった平明な文章を書けるなと思ったら、読み進めていく中で、作者自身がこうしたアナロジーや発想を蓄え、整理し、さら...
絵本をよんでみる (平凡社ライブラリー)
五味 太郎
平凡社
(1999年08月)
ノンフィクション その他
絵本作家が様々な絵本たちを満遍なく味わいつくす。その肥えた舌には、どんなごまかしも利かない。
五味太郎が絵本を読み込み、気に入ったもの、刺激をうけたものなどについて、思うままに感想を述べているのだが、その一つ一つに抜け目がなく、鋭い。この人の前...
言語と社会 (岩波新書 青版 C-99)
P.トラッドギル
土田 滋
岩波書店
(1975年12月22日)
新書
社会言語学の入門書的な本。社会階級、民族、性、場面、国家、地理と項目を分けていたため、わかりやすかった。それぞれの項目の事例が詳しく、丁寧な記述だったが、音韻論における音声的な相違や、統語論における文法的な相違と社会的な相違についての説明がほとん...
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
福岡 伸一
講談社
(2007年05月18日)
新書
科学者でありながら詩的で文学的なセンスの光る文章。
生物というものは動的均衡、動的な秩序を持つ。生命を、静的で機械的なシステムとみて解き明かすことはできず、絶えず時間と流れの中の変化がそこにあることを見落としてはならない。
DNAのことや、科学者の発...
言葉の力、生きる力 (新潮文庫)
柳田 邦男
新潮社
(2005年06月)
エッセイ
柳田邦男のエッセイ集。医療や環境問題といった、この本で考察の対象となっているものに関し、柳田氏の観点が壮大である一方かなり重たく、やや読みにくかった。
また、若者の言葉の崩壊についてふれている割に、そのあたりの考察はあまり深くないので、説得力がな...
ダーリンの頭ン中 英語と語学
小栗 左多里
メディアファクトリー
(2005年03月04日)
ノンフィクション その他
言語学の雑学本であり、言葉のなぞのほんの一握りしか紹介していないが、実生活に寄り添った疑問から出発しているため、言語学習に役立ったり、異文化や自文化への言語に関する偏見を壊すのに一役買ったり、はたまた単純に知識欲を満たしてくれる。
また、トニーさ...
ユング心理学入門
河合 隼雄
培風館
(1967年10月)
専門書系
最初の章から、現象学(特に精神分析上の)の説明にはっとさせられるものがあった。whyが物理学においてはhowに置き換えられ、その答えは明快で論理的で事実そのものであるが、それでは、whyの裏にある、人間の心からくる疑問は解決されえない。その疑問、相手の人間...
社会言語学 (文庫クセジュ)
ルイ=ジャン カルヴェ
Louis‐Jean Calvet
白水社
(2001年12月)
専門書系
言語学の中でも社会言語学の様相を初めてしっかり俯瞰することができた。おおよそわかりやすく、訳も上手くて読みやすく、注釈なども親切についていた。筆者がフランス人ということで、例はフランス語が主なので、いまいち実感にかけるものも多かったが、実際に作者...
言語学とは何か (岩波新書)
田中 克彦
岩波書店
(1993年10月20日)
新書
言語学の、19世紀の青年文法学派から現代のチョムスキー、社会言語学にいたるまで、その変遷を記した本。言語学の流れを俯瞰できたが、それぞれの言語学者や学派の思想に深く立ち入らないわりに、専門用語が突然出てくるのでちょっと読みにくかった。
19世紀に青年...
ソシュールと言語学 (講談社現代新書)
町田 健
講談社
(2004年12月18日)
新書
ソシュールの構造主義から、構造主義を継承し発展させた言語学者たちの思想や理論についてわかりやすく解説されていた。ただ丁寧に解説しすぎてやや回りくどい印象も。
「体系」というものが単語間の中で特徴・意味の違いを見出すことのできる集合である点でヨコの...
メノン (岩波文庫)
プラトン
藤沢 令夫
岩波書店
(1994年10月17日)
専門書系
言語学の「プラトンの問題」への関心から手にとったが、実際読んでみたら、その言語学の生成文法における、「経験を知識が上回っていること、幼児が少ない言語データから完全な言語能力を身に付けること」について、直接的に記述している部分はなく、ただ想起説とし...
バロック音楽 (講談社現代新書 291)
皆川 達夫
講談社
(1972年01月)
新書
バロック音楽の時代的な位置づけや、その様相、特徴を俯瞰できる。何より著者の皆川さんが、自分の意見(ヴィバルディを好まないこととか)は記しながらも、それを当然のように誇張したり押し付けたりするのでなく、謙虚に、客観的に終始音楽について考え、伝えよう...
棒ふりのカフェテラス (文春文庫)
岩城 宏之
文藝春秋
(1986年05月)
エッセイ
N響の指揮者を務めていた岩城さんが、名前のアルファベット順に、自身の関りある音楽家・音楽関係者を紹介したエッセイ。紹介されている音楽家たちの個性が生き生きと伝わってきた。美しく完璧な演奏をする人ほど実は普通の人よりもずっとそれぞれに人間臭いものを持...
動物農場- Animal Farm【講談社英語文庫】
ジョージ・オーウェル
講談社インターナショナル
(2007年06月13日)
フィクション
革命により王政の支配が崩れ、平等な社会への希望が生まれる。しかし、すぐにその均衡は崩れ、独裁政治に移行し、最後には革命以前よりも厳しい恐怖政治の中で不平等社会が確立する。そのプロセスが、動物の社会という形で戯曲化されながら、分かりやすい比喩の中で...
リズム (講談社青い鳥文庫)
森 絵都
金子 恵
講談社
(2006年06月15日)
フィクション
ひとにはそれぞれのリズムがある。自分のリズムを知り、時には乱れるそのリズムをまた取り戻す。その繰り返しが生きることだ。
森絵都のデビュー作。
『リズム』の方は、児童向けの本とはいえ、友情とか家族とか恋愛とかちょっと話が上手く出来すぎているというか...
空港にて (文春文庫)
村上 龍
文藝春秋
(2005年05月)
フィクション
山本文緒の『みんないってしまう』と同じように、「日常的・社会的な現実感」をつきつけられる。社会的でありながら俗っぽい。
一人きりで何かを決断して周囲と決別する主人公たちは、とても強い。それは、何かを演じながら流れの中で無為に生きている周囲の人々に...
うたかた/サンクチュアリ (角川文庫)
吉本 ばなな
角川書店
(1997年12月)
フィクション
吉本ばななの作品にしては、スピリチュアルな要素や、爆発的に溢れてくる生の精神の叫びがほとんどなく、静謐に心の波を漂っていくような文章で書かれていた。
筆者はあとがきに、自分の作品ではないようだ、という謙虚かつやや懐疑的な言い方をしているが、やはり...
人形の家 (岩波文庫)
イプセン
原 千代海
岩波書店
(1996年05月16日)
フィクション
劇の台本のようなかたちで、セリフが書き連ねられ、場面も居間から動かず、淡々と進む物語。私は、女性がこのように男性の都合よく家庭に縛り付けられ、その支配の下で人形のような扱いをうける差別的社会の様子が、あまり実感として得られずに生きているが、それと...
友情 (岩波文庫)
武者小路 実篤
岩波書店
(2003年03月14日)
フィクション お気に入り
青年達の志の高さや思想の深さ。妄想やひとりよがりな恋心、友への尊敬と嫉妬の間の葛藤。
想う相手の一挙一動に過敏になり、自分本位な極端な未来を妄想するところの詳細な表現に、リアリティと、時代を超えた人間の心の不変性を見た。
杉子の野島への評価は率直...
海の短篇集 (角川文庫)
原田 宗典
角川書店
(1997年02月)
フィクション
アフターダーク (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
(2006年09月16日)
フィクション お気に入り
真夜中から空が白むまでの間の不思議な時間。
物語前半のラブホテルの事件やカオルたちの話しっぷりや、エリの部屋のテレビに映る顔のない男の登場やらが、どうも『20世紀少年』のショウグンや友だちのイメージを喚起させてしまって、私には漫画っぽく思えてしまっ...
スプートニクの恋人 (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
(2001年04月13日)
フィクション お気に入り
これまで読んだ村上春樹の作品の中で、今のところベスト。面白かった。また読みたい。
すみれの難しい気質や突拍子のない行動は現実離れしてるが、その思考の根本にある価値観には同感できる部分が多々あったし、ミュウの優雅な所作や暮らしぶりには憧れを抱き、こ...
挑む女 (文春文庫)
群 ようこ
文藝春秋
(2000年03月)
フィクション
四人の女性の生活と苦悩をユーモラスに描いた作品。あまり深く考えさせられる点はない。そのテンポのよさで一気に読んだが、著者独特のパワフルさやテンポ感に疲れも感じたし、共感できない点も多々あった。このような価値観の女性たちじゃ、どの人もゆったりとした...
あすなろ物語 (新潮文庫)
井上 靖
新潮社
(1958年11月)
フィクション
著者の自伝的小説。読みやすかった。「明日は檜になりたい」という「翌檜(あすなろ)」の言葉の意味を初めて知った。劣等感や女性への憧れなどを素直に吐露しているが、さっぱりとさわやかな印象があった。登場人物それぞれをあすなろにみなしていくが、一口にあす...
落花流水 (集英社文庫)
山本 文緒
集英社
(2002年10月18日)
フィクション
一人の女性の人生を1967年から2027年まで、十年ごとに語り手を変化させながら、つづる長編小説。あまりの複雑な展開と暗さにめいったが、淡々と話が展開するのと、形式が面白かったので、どんどん詠み進めることができた。登場する人物達の考えや行動には理解できな...
ハチ公の最後の恋人 (中公文庫)
吉本 ばなな
中央公論新社
(1998年08月)
フィクション
吉本ばななが作品で触れる、人間の嫌な部分への悲しみやむなしさのメッセージはストレートでひねくれてもおらず、共感できるものが多い。登場人物たちが直感を大切にし、好機を逃さないところが、論理性や科学や合理性にとらわれている現代人をその思考から開放して...
みんないってしまう (角川文庫)
山本 文緒
角川書店
(1999年06月)
フィクション
喪失感を、絶望的にも希望的にも解釈できるように短く余韻を残して終わる、短編という一つの表現形式も面白いなと思った。価値観の相違も環境の相違が大きく関るのではないかと改めて感じた。現代人の誰ものこころに潜む病をよくとらえていると思う。
なにより、自...
新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)
宮沢 賢治
新潮社
(1989年06月)
フィクション お気に入り
中学かなにかの教科書に載っていたものの、昔はあまり面白いと感じなかった「オツベルと象」など今読むと、宮沢賢治の童話独特のリズム感や表面のストーリーの奥にある物語や精神を昔よりは感じ取れるような部分が多くとても良かった。その純粋さやまっすぐさ、素直...
カラフル (文春文庫)
森 絵都
文藝春秋
(2007年09月04日)
フィクション お気に入り
展開は最初から読めていたし、文体もちょっと漫画っぽくてだめかな、と最初は思っていたのに途中からどんどん引き込まれて、読後は涙がこみ上げてくるような充実感があった。伝えたいことがはっきりしていて、それが素直に表現されている。重い展開でも、設定と文体...
潮騒 (新潮文庫)
三島 由紀夫
新潮社
(2005年10月)
フィクション
あまりにベタな感じで予想外の展開もないストーリーで、逆にそこに潜む皮肉めいたものがなにかあるように感じた。『ダフニスとクロエ』をなぞっているらしい。
都会を島と対比させる場面・表現が多い中で、都会を冷笑的にみているように感じられた。千代子が都会で...
プロカウンセラーの夢分析―心の声を聞く技術
東山 紘久
創元社
(2002年04月)
専門書系
この本を読んだことで、自分の見たその時々の夢に敏感になって、その夢からのメッセージを読み取ろうとするようになった。意味なく夢を見るはずがないよな、と改めて気づかされた。そしてどんな悪夢でも、夢は自分の味方であるのだ、という筆者の意見は、自分の生き...
ブッシュマンとして生きる―原野で考えることばと身体 (中公新書)
菅原 和孝
中央公論新社
(2004年01月)
新書
ブッシュマンの住むアフリカでのフィールドワーク。専門書にも分類されうるだろうが、作者が密着した人物が何度も登場するため、一つの物語を読んでいるような面白さもある。ブッシュマンの社会では、子供につける名前が、その時々の記憶や情念を忘れないようにする...
時計の社会史 (中公新書 (715))
角山 栄
中央公論社
(1984年01月)
新書
時計の発明から日本への伝来、そして現代(この本の出版は1980年代)に続く時計の技術・機能発達とその背景もしくは影響下となった各国の社会の状態や変遷を歴史的におっており、そこから時間に対する人々の感覚の変化にも言及していておもしろかった。貴重な文献な...
反社会学講座 (ちくま文庫)
パオロ マッツァリーノ
Paolo Mazzarino
筑摩書房
(2007年07月)
専門書系
定説化しているような社会学の理論に対し、皮肉とユーモアを織り交ぜて反論し、独自の意見を提唱している。統計資料の読み取りが抜け目ない。また、ただユーモアを追いかけて突拍子ないように思われる筆者の意見も、実は一理あって実際に社会制度や規範として適用で...
教育力 (岩波新書)
齋藤 孝
岩波書店
(2007年01月19日)
新書
教育にたずさわる人々、そして教育者を志す者に向けて書いているようだが、全ての学習者と、知的好奇心を持ち続ける人々にとっても、読むのに大変意義のある本だろう。筆者のこれまでの教育・教授法の研究とその実践がいかに密度の濃いものであったかを伝えるのに、...
大学時代しなければならない50のこと (PHP文庫)
中谷 彰宏
PHP研究所
(2000年12月)
エッセイ
こうしなさい、というような方法論や論理的でない押し付けがましい主張の本は好きではないが、今の自分を客観的に捉えるのに、参考にはなるかと思い、読んだ。しかし、やはり書き方が単純で大衆にわかりやすいように誇張した文章で、箇条書き形式なものは、どうも思...
翻訳者はウソをつく! (青春新書INTELLIGENCE 184)
福光 潤
青春出版社
(2007年10月02日)
新書
若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)
城 繁幸
光文社
(2006年09月15日)
新書
富士通で人事を担当し、現在は自らの運営するコンサルティング会社で活躍する著者の「現場」の生の声を聞くことができ、現在の日本の企業の実態を知ることができた。20代〜30代前半あたりの若者を読者として想定しているので、これからまだ就職を控えている私にとっ...
「あたりまえ」を疑う社会学 質的調査のセンス (光文社新書)
好井 裕明
光文社
(2006年02月16日)
新書
著者は、研究対象の人や世界をただ「対象化」して、研究者自らは「透明化」しようとするのでは、社会の実態や問題点を具体的に捉えてその認識や変革を目指す社会学のあり方として、おかしいのではないかと考える。その人の世界に研究者が「はいりこみ」、適切に「き...
翻訳家の仕事 (岩波新書)
岩波書店編集部
岩波書店
(2006年12月20日)
エッセイ
翻訳家何十名かの、翻訳をテーマとした短いエッセイをまとめた新書。文芸翻訳のプロたちの翻訳への信念、熱意や苦労が伝わってきた。翻訳に対するこだわりはやはりプロであり素晴らしいと感じた。
なるほどの対話 (新潮文庫)
河合 隼雄
新潮社
(2005年08月)
ノンフィクション その他
面白かったのは、実際の会話でなく活字からも、カウンセラーとしての河合隼雄と、クライアントのように内から何かが引き出されそうになりながらも賢明に押し留めている、よしもとばななの様子が伝わってきたことだ。
鈍感力
渡辺 淳一
集英社
(2007年02月05日)
エッセイ
魂にメスはいらない ユング心理学講義 (講談社プラスアルファ文庫)
河合 隼雄
講談社
(1993年09月07日)
専門書系
タイトルの響きが色々なイメージを喚起させる。
最後の、谷川俊太郎の詩に対する、河合隼雄の解釈や感想が特に興味深い。
「わざ」から知る (認知科学選書)
生田 久美子
東京大学出版会
(1987年09月)
専門書系
「わざ」言語が、認知や理解に果たす役割に関する考察は特に興味深い。
自分の今後の関心や研究に生かすヒントになる書。
忘れられた日本人 (岩波文庫)
宮本 常一
岩波書店
(1984年05月16日)
専門書系
愛する源氏物語 (文春文庫)
俵 万智
文藝春秋
(2007年04月)
ノンフィクション その他
歌だからこそ、大胆な本音や心の奥の想いを雅な言葉や曖昧な表現に包んで詠むことができる、という見解に感銘を受けた。日本語の表現が持つ不確かさゆえの美しさを改めて知った。
また、当時の歌のやり取りと現代のメールのやり取りを重ね合わせている部分で、日本...
新・おくのほそ道
俵 万智
河出書房新社
(2001年10月)
ノンフィクション その他
おくの細道の「新訳」ともとれる。会ったこともない芭蕉の旅を現代で想起し、自分達の体験や思想に取り込んで新たな歴史が造作られる過程が読み取れて面白かった。「旅」というテーマがその想起をより触発するものなのではないか、と思う。一人旅が余計にしたくなった。
草枕 (新潮文庫)
夏目 漱石
新潮社
(2005年09月)
フィクション
言葉が難しかったり、古い言い回しや表現で、話のなかの情景を明確に頭に描くことが私にはまだまだできなかったが、俗を断って芸術の中に現実を捉えようとする主人公の様子が独特であり、そこが面白い部分であることは良く分かった。解説にあったように(解説も私に...
老人と海 (新潮文庫)
ヘミングウェイ
Ernest Hemingway
新潮社
(2003年05月)
フィクション
一番面白かったのは翻訳者が書いた作品解説。アメリカ文学が歴史の上にあるのでなく未来と空間の中にしかない、だから心理描写も事実と実態の上にしかなりたってない、という分析が鋭いと思った。
星の王子さま (新潮文庫)
サン=テグジュペリ
Antoine de Saint‐Exup´ery
新潮社
(2006年03月)
フィクション お気に入り
小さいころ難解に感じて読めずにいたが、今回読んでみて、そのたくさんの哲学的な示唆と作者の人間の心・人間と人間の関りに対する暖かな視点がつまっていて、とてもこころに響くものがあった。
人間が「絆を結ぶ」と切なくなるのだ、ということに特にとても共感し...
マリカのソファー/バリ夢日記 (幻冬舎文庫―世界の旅)
吉本 ばなな
幻冬舎
(1997年04月)
フィクション
マリカの、言葉にはできないほどの辛い体験を、結局は成長するのにいい経験になったのだ、というような人間は殴ってやりたい、というような主人公の心の声が突き刺さった。ものごとを客観的に冷静に捉えてしまい、本当は共感などできていないのではないか、という自...
語り女たち (新潮文庫)
北村 薫
新潮社
(2007年03月)
フィクション
様々な女性達が、自らの体験をある男に語っていく短編集。全17話で、全体としてはミステリー・ファンタジーの趣があり、非現実的な体験も、現実といえる体験もともに含まれているが、そのような区分とは関係なく、一編一編がその女性のキャラクターを反映してそれぞ...
雪国 (岩波文庫)
川端 康成
岩波書店
(2003年03月14日)
フィクション
当時の、苦しい生活の中で生きる女性たちを生生しく描く表現力はさすがだと思った。
しかし、当時の連載が途切れ途切れで、最後の方は後に付け足したものであるとのこともあってか、どこか話にばらばらな印象を受け、「伊豆の踊り子」ほどには作品に魅力を感じなか...
パン屋再襲撃 (文春文庫)
村上 春樹
文藝春秋
(1989年04月10日)
フィクション
改めて、村上春樹の、突飛な難解さを感じた。どこか論理的で何か意味がありそうで、でもわからない、そして本当に意味なんてあるのだろうかと感じさせながらも、読者を作品に引き込んでいく力はさすがである。
短編集であるが、その中のあらゆる作品に、人物は違え...
伊豆の踊子 (新潮文庫)
川端 康成
新潮社
(2003年05月)
フィクション お気に入り
偉人の文章力・表現力の巧みさに驚愕した。また、表題作の『伊豆の踊り子』と、他に収録されている三篇との、作風の違いに驚いた。
『伊豆の踊り子』が穏やかで切ない物語であるのに対し、『温泉宿』は安野モヨコの『さくらん』を連想させる(もちろんこちらが後世...
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