途上国に焦点を当て、経済成長がどのようなメカニズムで進むのかを解説し、グローバルな経済環境にどのような影響を及ぼすかを考え、成長が頭打ちとなった先進国の戦略転換をシュミレーションする一冊。
読むのに時間がかかってしまった。正直、ハードルが高くてついていけない部分もあった。それでも読み通せたのは、経済理論の翻訳としては珍しく、文章がとても読みやすかったため。内容を完全に理解していなければこの訳はできない。感心して訳者略歴を見ると、日本経済新聞の記者をやっていた人らしい……納得。
内容とは無関係だが、この本を読んでいて、途上国を昔は「後進国」と呼んでいたことを思い出した。最近めっきり聞かなくなった言葉だが、いまの日本ほどこの表現に当てはまる国家はないだろう。「後から進む国」ではなく、「後ろ向きに進む国」という意味でだ。震災や原発事故、欧米信用不安のとばっちり円高で、経済後退の引力は加速度的に増大している。そんな過酷な状況下、国民は前に向かって食うものも食わずに全力疾走している。なのに行政は、その場しのぎとパワーゲームと既得権益の維持に汲々として機能不全に陥っている……そんなふうに見えて仕方ない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
経済
- 感想投稿日 : 2012年9月2日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年9月2日
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