ページからベッドへ。ベッドから寝室へ。寝室からアパルトマンへ。集合住宅へ。通りへ。地区へ。街へ。田舎へ。国へ。ヨーロッパへ。世界へ。そして、空間へ。ペレックの筆致は「さまざまな空間」へと軽やかに運ばれてゆく。決してあからさまではない形で喚起させる幼年期の戦争孤児としての記憶。そして「ひろがりゆく空虚からくっきりした断片を救いだし、どこかにわだち、なごり、あかし、あるいはしるしをいくつか残す」この書くことのエチカ。それらを決して重厚で晦渋な形ではなく、ときにユーモアも交えながら「書く」。ペレックは「空間」をこれまでとは別の仕方で見ることができることを教えてくれる。盟友レーモン・クノー『文体練習』のかたわらに。
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- 感想投稿日 : 2007年12月1日
- 読了日 : 2009年1月19日
- 本棚登録日 : 2007年12月1日
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