誰にも書けなかった戦争の現実

  • 草思社
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794207661

作品紹介・あらすじ

戦場でのとんでもない失策から知られざる銃後の混乱ぶりまで。もはや笑うしかないほどの第二次世界大戦の真実の姿。

感想・レビュー・書評

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  • 太平洋戦争における日本軍兵士の失敗については、数多くの本で紹介されており、書店で戦争に関する本を探せば、その類の本はいくらでも見つけることができます。では、連合軍はどうだったかと言うと、実は日本軍同様に多くの失敗をしていたようです。そのような前線で戦っていた連合軍(特に米英)の兵士達の現実を紹介したのがこの本です。
    例えば精密爆撃と言いながら、精度が低くて自軍が巻き添えになり、逆上して友軍機に発砲したり、恐怖心から味方を相手と間違って撃ってしまうようなことは、よくあることだったようです。そのような現場での失敗事例も含めて、戦時中の噂話、軍の中のいじめの問題、兵士達の飲酒や性の実態、生活物資の不足への対応、心理的な影響など、軍隊の中の人間社会が抱える問題(特に国のために戦うというモチベーションをいかに維持していたか)について焦点を当てており、とても面白い内容でした。
    戦略や戦術の失敗という大局的な見方もありますが、「戦争は現場で起きている」という観点で見ると、この本からは多くの教訓を得ることができると思います。

  • 第三章 "また誰かがドジを踏む"ー軍事的過失の研究 
    あまりにも味方への誤射、誤爆のオンパレードで呆れる  真実を知らされていない遺族にとっては、まさしく“知らぬが仏” しかし、やるせない話である 

    第四章 "復員すればフォードがもらえる"ー戦時の流言
    戦時中の流言飛語に右往左往する軍人たちが哀れであり滑稽でもある。これだけ噂話が流布すると “オオカミが来た” 状態にならないのかとも思うが駐屯地の雰囲気が諦観を曇らせるのも納得できる
     上手に噂を流すコツ四ヶ条の内容は、舞台が小中学校でもおかしくないほど、やることが稚拙だ 

    第九章 ”サルとサディストとめかし屋と”ー敵の類型化  彼らは日本兵を人間以下、サル、けだもの、害虫として見ていた。対して、枢軸国のドイツ、イタリア兵は取りあえずは人間として見ていた。よって独兵、伊兵には日本兵に対するような冒涜的扱いを働いていない。なぜなら彼らは自分たちと同じ白人だからである。米兵が日本兵に対するあまりにも残虐非道ぶりに慄然とする。
    章の終わりに「戦争が終わり日本本土に占領軍が進駐してようやく、日本人の心の細やかさが再認識されるようになった」とあるが、にわかには信じがたい。再認識された具体的事象でもあれば納得もいくが、作者のいかにもとってつけた感が否めない。

    第十四章 “代用コーヒー、大豆ソーセージ”ー生活物資の欠乏 
    日本が東南アジアを占領したため、天然ゴムと絹の輸入が途絶えたので、合成ゴムと合成繊維が開発されるまで困窮した 特に絹のストッキングが買えないことに米国民は心理的大打撃を受けた 戦時中に絹のストッキングですか…ハァ⤵ 米国はどんぐりで代用したヴィクトリアコーヒー かたや日本は羽子板の羽の先についてる黒い豆でコーヒー豆の代用 もう、何も言えない(-_-;)

    しかし、米国より2年早く戦争を始めたイギリスの困窮ぶりは日本に通ずるのものがあるので痛み分けのような感情が湧く
    兎にも角にも戦時中のイタリアン人気質って最強だと思った
    訳:宮崎 尊

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