黄金のアデーレ 名画の帰還 [DVD]

監督 : サイモン・カーティス 
出演 : ヘレン・ミレン  ライアン・レイノルズ  ダニエル・ブリュール  ケイティ・ホームズ  タチアナ・マズラニー  マックス・アイアンズ 
  • ギャガ
3.82
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  • (7)
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本棚登録 : 223
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4589921402613

感想・レビュー・書評

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  • マリアアルトマン/ヘレンミレンの演技が
    じつに 緩急があって、すばらしい。
    実話をベースにしている。その心の動きが
    微妙に、演じられる。そして、現在と過去が入り交じり
    ナチスの侵攻とユダヤ人に対する迫害の様子がすごい。

    オーストリアがルーツである弁護士ランディは、
    ホローコースト博物館を見て変化していく。
    ナチスが没収した美術品は、私有財産権はどこにあるのか?
    ナチスを許さないと言うこと。
    また、収奪したものを返還せよと言うこと。
    クリムト作の黄金のアデーレの返還を要求する。
    想い出をとりもどしたいけど、思い出したくない。
    父と母を残して、アメリカに逃げたこと。
    自分の国がオーストリアなのだが、異国のようにみえる。
    様々な思い 過去をじっと見つめることも、できない。
    そんな複雑な アルトマンの心境と 
    オーストリア政府の対応に、怒りが 涌き上がる。
    ランディは、タクミに、法廷の戦いを進めていく。
    国境を越えて、時間との勝負があった。
    すごい、映画だった。事実は、もっと大変だったんでしょうね。

  •  駆け出しの弁護士ランディはある日、母親からマリアという女性の相談を受けるよう頼まれる。ユダヤ系の女性であるマリアは若いころにオーストリアを脱出。そのときにナチスに奪われ現在、オーストリアの美術館に所蔵されている絵画「アデーレ」を取り返す裁判の弁護をしてほしいというのだ。そして二人は、裁判のためオーストリアへ向かうのだが…

     自分がこの作品に☆を5つつけたのは、裁判の様子だけでなく、マリアの回想を効果的に挿入することで、より感動的な映画になっているためです。

     アデーレはマリアの叔母を描いた作品であり、そのため大切な思い出の象徴であることは、間違いありません。しかし、回想のシーンは、それだけでは終わりません。叔母が亡くなった後も、家族と一緒に幸せに暮らしていたマリア。しかし、突然ナチスによって資産を差し押さえられ、マリアは老いた父母を残し、夫とともにアメリカへ脱出することになります。

     幸せな記憶と、ナチスの管理下に置かれすべてを奪われていく日々。そのどちらも描かれるからこそ、マリアがアデーレを取り返そうとする真意が直接的でなくても、見てる側の心に届くのです。それは、もちろんお金のためではないし、単に思い出という単純なものでもないと思います。奪われた日々の象徴、戻らない過去への郷愁、自身の家系への誇り、そうした諸々を感じさせるのです。

     はじめは裁判の注目度の高さからメリットを計算し、弁護を引き受けたランディですが、オーストリアでホロコースト記念館を目の当たりにしてから、心情に変化が現れます。自身が所属する法律事務所から、弁護から手を引くように言われても、また、マリアが弱気になり、裁判をやめようとするときも、自分の心と正義を信じ、時にマリアを引っ張り裁判に臨みます。その成長の姿も見ていて清々しい!

     成長はマリアにもあります。辛い記憶から避けるため、初めはオーストリアに行くことを拒否していたマリアですが、徐々にそれを乗り越えていき、そしてランディとの関係性も徐々に深くなっていきます。この姿もまたいい!

     オーストリアの裁判所でのランディのスピーチ、映画のラスト近くで明かされる、出国間際のマリアと両親の最後の会話はいずれも感動的! 

     wowowのW座で紹介されるまで、まったく知らなかった映画なのですが、ここまでいい話だとは思いませんでした。こういう知らない掘り出し物に出会えるからこそ、こういう映画専門チャンネルの特集は、見るのをやめられません。

  • 端的に感想言うと思っていたよりずっと面白かった。

    内容としては、戦時下にナチスに略奪された伯母・アデーレの肖像画を正当な持ち主である自分に返して欲しいと、友人の息子である駆け出し弁護士(帰化三世)と共に82歳の女性マリアがオーストリア政府を訴えるという、実話をベースにしたお話。

    アデーレの肖像は“オーストリアのモナリザ”と言われ、国の美術館に長年飾られてきた顔とも言える作品。クリムトの名画。
    そのため、政府はマリアの訴えを受け入れず、マリアは政府と対立することに。

    観るまでは現代での裁判に関係する話しがメインかと思いきや、実際は過去と現在、アメリカとオーストリアを何度も行き来する。

    マリアが取り戻したかったものはなにか?

    半世紀経てども思い出すことも辛い、ナチス政権下での差別の時代。
    その中で不当に奪われていく平和な日々。

    亡命するに至って、過去にそして祖国に置いて行かざるをえなかったものが沢山あった。
    共に国を出ることが出来なかった両親や亡き伯母・アデーレ、家族達と過ごした大切な記憶や幸せな時間が置き去りにされている。
    マリアにとって伯母の肖像画は名高い名画などではない。
    そこに生きていた確固たる証なのだ。

    肖像画を取り戻して行く中でマリアだけではなく、帰化三世である弁護士のランディは自分のルーツをオーストリアに見いだしたりなど様々な人が、1枚の絵に関わることで変化して行く。

    華やかな過去、辛い日々を過ごした戦時下、それを乗り越え凛とした姿で生きる現代。
    一人の女性の数奇な生き様を描いた素晴らしい作品。

  • 実話を基にした作品。クリムトの有名な画にこんな物語があったとは知りませんでした。
    国(オーストリア)が国宝級に大事にしているクリムトの「黄金のアデーレ」を、伯母の肖像画なので返して欲しいと個人が提訴したと聞くと何とも荒唐無稽な話のように思えたのですが、その実、戦争(ナチス)の暗部に光を当てるお話でした。
    登場人物が様々な困難や悲しみを抱えながらこの裁判に挑む背景もしっかり描かれているので、なかなか良かったです。

  • とても良かった。グスタフ・クリムトの名画『黄金のアデーレ』が持ち主のもとへ返還されるまでの経緯を描いている。
    クリムトも、その持ち主であるクリムトの姪の女性も、オーストリア人であり、この絵が長らく展示されていたのもオーストリアの美術館であるが、しかしこの絵がこの美術館に展示されるに至るまでの背景には、ナチスによる悪虐な略奪の暗い歴史があった。しかしのちに「オーストリアの魂」とまで評されるほどオーストリア人にとっての精神的な拠り所となっていたこの名画を、オーストリア政府は容易に手放そうとはしない。
    そのような中で返還を勝ち得た弁護士の手腕は紛れもなく優秀であり、高いハードルを戦いの末に乗り越えたそのプロセスはたしかに感動的である。しかし私が何より感動したのは、この名画の返還という歴史的な決定を下したのが、まぎれもなくオーストリア市民の良心であることだ。盗品を持ち主のもとへ返還するというのは、良心や道徳に従えば当然なわけであるが、しかし現実にはそういう良心が敗北する場面はまったく珍しくないことであるし、殊に政府が関わるような案件や法廷の場での案件はむしろ善が善としてありのままに裁かれることは稀だという現実を私たちは日々目にしてきた。しかも、オーストリアの美術館に展示されてきた『黄金のアデーレ』は長らく「オーストリアの魂」とされるほどの重大な存在だったわけである。それを、最終的な協定の場で、市民の判断として、返還の決定が下されたことは、現実の出来事として良心が完全に勝利したことを意味している。私はそれに大きく心を動かされた。ファンタジックな感動やフィクションの中での奇跡的な帰結としての感動よりも、心の奥に響くような感動である。オーストリア人の気高き誇りを目の当たりにしたようである。
    自惚れた民族的自意識に基づく歴史観がいまだに跋扈する我々日本人は、オーストリア人を大いに見習うべきである。

  • ヘレンミレンの演技が素晴らしくて見入ってしまった。
    ユダヤとかナチスとかもっと知っておきたいというきっかけにもなった。
    昔描かれた絵にはモデルがいて、それは誰かの先祖であってっていう当たり前のことを思い知った。何百年も前の人の絵が残ってるって改めてすごいことだなと思った。

  • クリムトの名画「黄金のアデーレ」の返還を巡る裁判の実話を通して、戦争の悲劇を静かにかつ強く訴えかける名作。勿論名優ヘレン・ミレンの演技なくしてはありえない映画。ヘレン・ミレンが本当にマリア・アルトマンに見えてくる。美術好きにも映画好きにも深く刺さる映画。

  • ナチに強制収奪されたクリムトの「黄金の女」のモデルアデーレの姪が主人公。親戚筋に現代音楽のシェーンベルグの孫で弁護士の卵がいてて、かれとオーストリア政府を相手に絵を取り返す手立てをさぐる。
    れき、美術、ユダヤ人迫害、法廷劇いろんな要素がある。

  • B+。
    映像がきれい。
    ストーリーは意外性はないけれど歴史の事実の重みを感じる。

  • WOWOW/アメリカ・イギリス/2015年/サイモン・カーティス監督/ヘレン・ミレン出演

    スロースタートだけど、オーストリア政府との対決になると裁判モノの面白さになってくる。これが現実に起きてるのだから重みが出てくる。過去の話と交錯しながら、ヘレン・ミレンの勝ち気な性格の中に、裁判所のイチゴ味の飴を持ち込むといったディテイルで強弱をつけてうまい、丁寧な演出。

    もっとも、これ、完全なフィクションだったらあまりにうまくいきすぎている軽い話になってしまう。つまりは現実の重さがフィクションを上回ってるとも言える。

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