犬張子の謎 (御宿かわせみ)

著者 :
  • 文藝春秋 (1996年1月25日発売)
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本棚登録 : 31
感想 : 3

御宿かわせみシリーズ。独楽と羽子板・柿の木の下・犬張子の謎・鯉魚の仇討・十軒店人形市・愛宕まいり・蓮の花・富貴蘭の殺人。
今も昔もお金より大事なものがあると知る「独楽と羽子板」、東吾の子供好きが微笑ましい「十軒店人形市」、裏の顔がホラーな「蓮の花」、町人と武士の違いが面白い「富貴蘭の殺人」など。
毎回そうだけど、人の心の奥底に潜む狂気のエネルギーが奥深い。身勝手を棚に上げる犯人たちに振り回される善良な被害者。その被害者もまた人生や心の歯車が狂って落ちていくのが、江戸の背景とリンクして物悲しい。メインキャストたちの明るさが対比して、あちら側とこちら側に分かれているのを知る時、なんとなく、道を踏み外さず正しく生きようとそっと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 平岩弓枝
感想投稿日 : 2012年10月21日
読了日 : 2012年10月21日
本棚登録日 : 2012年10月21日

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