陽のあたる坂道 改版 (角川文庫 い 57-1)

著者 :
  • KADOKAWA (2006年2月1日発売)
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感想 : 10


/時はたそがれ母よ 私の乳母車を押せ
 泣きぬれる夕陽にむかつて りんりんと私の乳母車を押せ

という三好達治の《乳母車》が引用されていたことがとても新しい物へと導いてくれたような気がしました。
陽のあたる坂道、これは石坂裕次郎をイメージして書かれた読売新聞に掲載された小説らしい(残念なことに映画はまだ拝見していない。)
物語は女子大生のたか子が裕福で幸せそうな経営者の田代玉吉の娘、くみ子の家庭教師に抜擢され家へ田代家へ出入りするところから始まります。
しかしその裕福で幸福そうな、一見どこにでもありそうな普通の家族にはいろいろな秘密が隠されていて、女子大生のたか子が関わること(それはたか子が望んでしていることではなく、どうしようもない人間関係に付き纏う物のこと。)で、また違った方向へと導かれていく家族たち。しかしその中でも懸命に人生を肯定的に切り開いていく人々の姿に心を打たれます。

青春小説。
と一言で言えてしまう爽やかで心満ちていく作品でした。

(2009.05.09)

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感想投稿日 : 2009年5月9日
本棚登録日 : 2009年5月9日

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