再読.この不可思議な絵物語を一度目にしたら忘れることなんてできない.
冒頭に『瀧口修造に捧ぐ』の献辞がある.以前この絵本を読んだ後,偶然にも瀧口修造に縁のある書物を手にする機会に恵まれた.私が偏愛する朝吹真理子【流跡】の文庫本の装画は瀧口修造によるものであったし,岡上淑子の作品集,デルヴォーの画集のなかにも瀧口修造の名を見つけた.
作中に引用されている瀧口修造の詩に哲学的感興をそそられたので【宇宙遊星間旅行】も【扉の国】もひもといた.どうにかして【小宇宙―鏡の淵のアリス―】まで遡りたいと思っている.
私は未だに『扉の国』が何なのかわからない。けれども,目隠しをされていても一条の光は瞼で知覚することができる.あなたの手を借りながら『扉の国』へと進んでゆく.
これは数えきれないくらいの始まりの扉を私に与えてくれた大切な書物です.
《2015.08.25》
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本・児童書
- 感想投稿日 : 2015年11月27日
- 読了日 : 2015年8月25日
- 本棚登録日 : 2015年11月27日
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