再読。部屋の中に何の変哲もない蓋の閉じられた段ボール箱がある。ここで私の見ている箱というのは、想像上の箱、非在の箱。その内部は巨大な空虚であり豊穣とした充溢でもあり、部屋という箱の中にいる私が誰かに見られていないとも限らず、内部と外部が交換可能な世界が箱であるのかもしれない、とメビウスの輪的思考に陥る。箱の罠(あるいは穴)に嵌まってしまった。
つまり私は箱を形容する的確な言葉を持ち得ない。
けれども、箱と遊び、箱に遊ばれる少年の見開いた真っ赤な目の奇怪さに引き寄せられ、ますます私は箱を好きになっていきます。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
芸術
- 感想投稿日 : 2016年6月7日
- 読了日 : 2015年6月7日
- 本棚登録日 : 2016年6月7日
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