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ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)についてのel.scorchoさんのレビュー


ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス) 4228人が登録 ★3.59

著者: J.D.サリンジャー  制作: 野崎 孝 
本 / 白水社 / 339ページ / 1984年05月発売

レビュー by el.scorchoさん

文学   読み終わった  読了日 : 2012年01月06日  4  登録日: 2012年01月02日

最近本を読んでいると、もう少し若い時に出会っておきたかった、という本に出会う回数が増えている気がする。
高校時代にはそんなことを感じなかったし、10代の時に出会う本たちは全てが新鮮で、刺激的で、新しい世界を感じさせてくれた。
20歳になってからは「もう少し早く出会っておきたかった」という本が少しずつ出てきた。
グレートギャツビー、車輪の下、若きウェルテルの悩み、人間の土地。
もっと早く読んでおけば素敵な10代が過ごせたかも、なんて思う回数も多くなった。
ライ麦畑でつかまえて(The Catcher in the Rye)もそんな一冊だった。


あらすじ
大戦後間もなくのアメリカを舞台に、主人公のホールデン・コールフィールドが3校目に当たるボーディングスクールを成績不振で退学させられたことをきっかけに寮を飛び出し、実家に帰るまでニューヨークを放浪する3日間の話。
自身の落ちこぼれ意識や疎外感に苛まれる主人公が、妹に問い詰められて語った夢:<自分は、広いライ麦畑で遊んでいる子どもたちが、気付かずに崖っぷちから落ちそうになったときに、捕まえてあげるような、そんな人間になりたい...>が作品の主題となっている。このクライマックスシーンを導くために主人公の彷徨のストーリーが積み重ねられている。(wikipediaより)


読後の感想
制度や体制、慣習といったものに対する皮肉は、読んでいて思わずニヤッとしてしまうし、多くの若者が通り過ぎていく過程にある、独特な感情を巧みに表現しているな、と感じた。

「拍手ってものは、いつだって、的外れなものに送られるんだ。」
「映画の野郎の影響さ。映画ってのはひとをだめにする。決して嘘じゃないよ」
「金の野郎め。いつだって、しまいには必ずひとのことを憂鬱にさせやがる。」

一度はこんなセリフを口にしたくなった人は多いはず。
たぶん自分が中学生とか高校生の時だったら、こんな部分に偉く共感して、赤いハンチングなんかかぶって街中を歩いたんだろう。


でも今共感するのは、主人公ではなく、彼の兄であるD・Bやアントリーニ先生の方だった。
才能ある小説家でありながら、ハリウッドで大衆向けの脚本を書くD・B。そんな彼が、ニューヨークを放浪した弟に向かって、「今までしてきたことをどう思っているのか」と問う時の彼の表情がなんとなく想像出来たり、
主人公の行動に共感しつつも、将来に向けたアドバイスをするアントリーニ先生が
「未成熟な人間の特徴は、理想のために高貴な死を選ぼうとする点にある。これに反して成熟した人間の特徴は、理想のために卑小な生を選ぼうとする点にある」
という精神分析の学者の言葉を引用するシーンにもどこか共感するものがあった。


もっと若い時読んでいればと思っていても仕方ないので、これからの人生で何度も読み返し、その時々の感じ方、共感する人物の違いを味わっていきたい。
細かなニュアンスが伝わらない点があったので、次読み返すときは、ぜひ原文で読みたい。 レビュー登録日 : 2012年01月06日


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