死んだ乙美が残した数々の暮らしのレシピ、そこには「四十九日のレシピ」もあった。夫の良平は妻と最後に交わした会話を後悔していて、継子の百合子もまた夫の不倫に傷つき実家に出戻っていた。そんな2人が乙美のレシピをきっかけに徐々に再生していく様を丁寧に描いている。お葬式や四十九日って故人のためでもあり、送り出す側の心の整理のためでもあるのだなと、この作品を読んで改めて思う。普通だと思っていたことが普通ではなく、幸せを失ってから気付くこともあるし、ひとつの幸せに拘って他の幸せが見えないこともあるだろう。レシピをコツコツと作りためていた乙美さんの普通の生活を大切にする気持ちが素敵だなあと思った。
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- 感想投稿日 : 2016年5月16日
- 読了日 : 2016年5月16日
- 本棚登録日 : 2016年5月15日
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