世界のお墓

  • 幻冬舎 (2016年7月7日発売)
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本棚登録 : 125
感想 : 16
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「故人を思う気持ちは40万年前から、古今東西いずこでも変わらない。世界各地にまだ残る、美しいもの、珍しいもの、歴史あるもの、そんな数々のお墓から、選りすぐりの52ヶ所を集めました。」(はじめに)

「お墓の写真を集めた本って…正気か?!」と思ったが、予想を裏切る美しい本。
日本のお墓にはどうしても地味で暗いイメージがあるが、本書を読むと、それがごく限定的なイメージでしかないことがわかる。
宇宙や海を舞台とする壮大な墓、モザイクに覆われた豪華絢爛な墓、自然と同化して少しずつ朽ちてゆく墓など、文化の多様性に驚かされる。

自分が埋葬されるとしたら、「ソーリオ村のサン・ロレンツォ教会墓地」や「スコーグスシュルコゴーデン」がいい。
前者は花壇のようなささやかな墓だが、アルプスの絶景が広がる。
後者は森へ散骨されるが、その場所は遺族に知らされない。無名のただの人として自然へ還る。
最も楽しいのは「サプンツァ村の陽気なお墓」。墓標に肖像画と故人の人生がカラフルな色合いで彫られている。天国で故人同士が、「俺こんなこと彫られたわ!」と盛り上がりそうだ。

死を悼むだけでなく、死者に寄り添って共に生活するような、厳かであたたかい文化にふれることができた。
(たぶん)幽霊は写っていないのでホラー嫌いにも安心だし、建築が好きな方にもおすすめ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宗教
感想投稿日 : 2017年5月14日
読了日 : 2017年5月14日
本棚登録日 : 2017年5月14日

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