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図書館派。読んだ本を忘れがちなので備忘録がわりに。 たまに長い感想をblogに書いています。
レビュー by etica13さん
人が皆、過ぎ去りゆく光に思いをはせる夏の終わりの、この季節にふさわしい本だ。
一介のサラリーマンとして暮らし世を終えた作者の、最初の、そして最後の本であるこの本には、夏の終わりのその思い、過ぎ去った光への思いが詰まっている。
描かれているのは、愛犬との出会い、妻との死別、商社マンとして赴いた異国の地での人々との出会いと別れ。
そのすべてが過ぎ去った一人きりの夕べ、彼は傍らの犬に話しかける。
「ヴァージニアに帰りたいか」と。
光に満ち溢れたヴァージニアの春、彼と妻と息子と犬とで過ごした、もう戻らないその穏やかな午後に。
タイトルにある「バスラー」とは、商社マンとして彼が初めて赴いた砂漠の地の名だ。
彼は最後に記す。僕はまたきっとバスラーに行ってみるつもりだ、と。
その日はやってこなかった。もし行ったとしても、若き日に彼が出会った人々は既にその地にはいなかったことだろう。空は変わらずとも地上は変わる。
しかし、あのヴァージニアの午後、そしてバスラーの白い空の下に、本の完成を待たずに世を去った彼はきっとたどり着いたことだろう。
彼岸こそが、過去と未来と現在が共にある地であろうから。
登録日 : 2008年09月06日 18:33:02


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